2009年6月29日月曜日

外国人排斥を許さない6・13緊急行動実行委員会からの報告

崔さんへ

京都でも反[在特会デモの当日報告がでましたので、転送します。

番匠

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こんばんは

遅ればせながら「当日報告」をブログにアップいたしました。
http://613action.blog85.fc2.com/

参加、注目ありがとうございました。

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当日報告
2009 年6月13日、私たち「外国人排斥を許さない6・13緊急行
動実行委員会」(以下、実行委)は、「在日特権を許さない市
民の会」(以下、在特会)による「外国人参政権断固反対デモ
」に対して抗議するデモと情宣を行いました。実行委が行動前
に確認していたことは、非暴力を貫き、在日外国人との共生を
自分たちのメッセージとして街に届ける、ということです。日
常活動ではなかなか出会うことのない団体や個人から幅広い賛
同をいただき、行動に結びつけることができました(2009年6
月20日時点で個人・団体を合わせて769名)。

当日は午前11時00分に三条河川敷に集合し、11時30分、デモに
出発をしました。出発前のアピールは、審議中の入国管理法改
定案の問題点を訴えるもの、在日外国人の就労や生活における
制度的欠陥を主張するもの、国籍は違えど労働者として共に生
きていこうと呼びかけるもの等、多数ありました。デモに出発
してから、隊列の前からは「在日特権なんてないぞ」「全ての
外国人に生きる権利を」「私たちに生きる権利を」「人らしく
生きられる社会を」などのシュプレヒコールが上がり、道行く
市民の関心も高くビラの受け取りも上々でした。かと思うと、
隊列最後尾からは「シュプレヒコールを待つな!自由に叫べ!
」という大きな声。激しく打ち鳴らされる太鼓の音。また在特
会をパロディしたユニークな旗や服装の人々も。日の丸を掲げ
て在特会を批判する保守の人、排外主義に脅かされたくないと
路上に参じた外国籍の人たちもいました。緊急行動の呼びかけ
に、本当に多種多様な人々が集まってくださり、それを象徴す
るデモの風景になりました(当日の様子を記録した動画です)
。参加者数は、出発前が250人ほどで、終了時点で約300人にま
で増えました。

午後1時30分より、今度は在特会のデモに対して、三条商店街
入口、蛸薬師通入口、四条河原町交差点にてアピールとビラま
き情宣を行いました。在特会がシュプレヒコールを上げながら
通過していく道向かいで、排外主義に反対する趣旨のビラを2000
枚配り切りました。在特会の「テロリストに参政権は与えない
ぞ」等の独特のシュプレヒコールで土曜日の四条河原町は異様
な雰囲気に包まれ(*1)、何事なのかと自ら私たちのビラを
取りに来た人もいました。私たちのアピールは在特会にではな
く、京都の市民に向けられたものです。私たちを過剰に敵対視
し挑発を繰り返してくる在特会に応じることなく、準備してい
た日本語、朝鮮語、中国語、スペイン語、英語、エスペラント
語のプラカードや旗を掲げました。その内容は「外国人排斥反
対」「No
More Fascism」「生きる権利に国境はない」「自由の敵に自由
を許すな」「いじめるな」等。さらに、彼らが四条河原町を通
過するときには交差点の四隅から、「さべつ・はんたい」「い
じめ・やめろ」「ざいとくかい・ゆるすな」等のショートコー
ルを上げました(*2)。

立場を超えて様々な人たちが集まり、排外主義的な在特会のデ
モに反対して立ち上がることができたのは、実行委の呼びかけ
に賛同いただいた皆様のおかげと思います。ありがとうござい
ました。

実行委は解散いたしますが、在日外国人の権利を拡充していく
地道な運動は今後ますます必要になるでしょう。排外主義に抗
して在日外国人の問題に向かい合う人々の輪が広がっていくこ
とを願います。

外国人排斥を許さない6・13緊急行動実行委員会

(*1)6 月13日に在特会が掲げていた主張は「外国人参政権
反対」でしたが、ホームページや当日のシュプレッヒコールの
内容からも、彼らの主張が参政権反対にとどまらない排外主義
的なものであることは明らかです。それに対しネット上では、
「外国人参政権に反対であって外国人排斥ではない」といった
在特会シンパによる書き込みが散見されます。こうした書き込
みは、自分たちの意見が堂々と全面展開できるような正しいも
のではないと気づいており、自分たちの主張を歪曲することな
しに自らを正当化できない在特会の弱さ、悪ふざけの現れであ
ると考えます。
改めて強調しますが、在特会が発する言葉の内容は、政治的な
主張に値しない露骨な悪意と憎しみに満ちたヘイトスピーチで
あり、そのようなきわめて差別的な言葉が垂れ流されること自
体が暴力であり、許されるものではありません。

(*2)すでに在特会が宣伝材料として使用していますが、彼
らのデモが四条河原町を通過中に爆竹がなったという事実があ
るようです。確かに爆竹のような音はなっていますが、インタ
ーネットにアップされている動画を見る限り、彼らが喧伝して
いるような「デモ隊に爆発物を投げ入れられた」という事実を
読み取ることはできません。また、もちろん実行委として彼ら
の隊列に爆竹を投げ込むというような行動は呼びかけておりま
せん。
しかし、このようなあやふやな事実を根拠に、在特会のメンバ
ーを名乗る人物が緊急行動の賛同者に対して、「「外国人排斥
を許さない緊急行動」のメンバーに爆竹投石を受けた」、「子
どもがデモ中に爆竹で被害を受けた」、「爆竹を投げる者への
賛同はどういうことだ」といった内容の電話をしてきておりま
す。実行委として事実に基づく批判を受け止めることは当然で
すが、そもそも彼らの主張する「爆竹のようなもの」について
は、誰が何の目的で鳴らしたのかはいまだ不明です。しかも実
行委に対して直接批判するのではなく、賛同人を特定し圧力を
かけるなど、あまりにも陰湿であり卑怯極まりないと断じざる
を得ません。
その上で、今回の彼らの反応から、私たちも教訓を引き出しま
した。基本的に間違った主張をしている在特会は、批判者や抗
議者を攻撃することによってしか「正しさ」を主張できず、そ
のことに自覚的な彼らは攻撃材料を常に探しています。今回の
抗議行動を組み立てるにあたって、実行委はそのことを十分に
念頭においておりましたが、今後の抗議行動においてもそうさ
れるべきであるということを声明しておきます。

2009年6月23日火曜日

報告ー京都での「在特会」のデモの様子

みなさんへ

昨日、「川崎市政を変えよう! 市民の会」があり、岡本候補との懇談がありました。この6か月、阿部市長に先行して立候補宣言をしておきながら、どうして、一般市民との対話を重ねて来ず、組合や共産党市議と(共産党シンパ)を訪問するような、従来型の選挙運動をしてきたのか、この点を私は問いました。選挙に投票に行かない60-65%の一般市民を味方にすることが唯一、選挙に勝つための必須条件だということは明白なのですから。

この会としては、市民運動の結集点をつくるべく、1000人集会をしようということでの合意がなされました。これからですね・・・

京都のN君から、「在特会」が京都でどのようなデモをしたのか、それに対抗する動きはどのようなものであったのか、現場からの貴重な報告がありました。


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崔 勝久
SK Choi

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崔さんへ

京都での「在特会」のデモが話題になっているようですね。
私も午前中の反対デモの方に少し参加し、午後の「在特会」のデモも京都市役所から四条川原町のあたりまで歩道から見ていました。

午前中の抗議デモは、マンネリ化していると言われていますが、ビラもまいて、鴨川の河川敷のアピールも行なわれ、「在特会」の数人が橋の上から監視するなか、目的は達成されたかなという感じです。

「在特会」のほうは、昼過ぎに市役所の前に集まった段階では100人もいないかなと思ったのですが、桜井がアピールしている時に、ハリセン男の闖入と、在日らしきおっちゃん二人の抗議があって、デモに入る前に集まった群集がヒートアップして、その人たちに襲い掛かるということが数回ありました。若い人も数人混じった群集のおぞましい罵声が飛び交い、見える敵に対することで結果的に非常に場を盛り上げることになったと思います。

その前に、麻生太郎の公式ソングを歌っている某の「あいらぶJAPAN」(坂本竜馬の墓前で作ったとか…。罰当たりな。)という歌、桜井のアジ、村田春樹のアジは、ほどほどに盛り上がっていましたが、同じことの繰り返しでうんざりですね。集まった右翼も途中でシュプレヒコールが小さくなっていたし、暑いなか大変やなと。

午前中の抗議行動に参加したメンバーも半分はその場にいたのですが、みなおぞましい風景にぞっとしつつ、相手の戦略が思っていたより上手いことにびっくりしました。前日の西本願寺の映像が人数的にもたいしたことなかったので、ちょっと侮っていたこともあるかと。機動隊の数も少なかったですし。

そうした前座や、警官隊の弱気な姿勢もあって、「在特会」は非常にヒートアップしたまま車道に出て、通行人に対しても(笑)汚い罵声を浴びせながら熱狂的な行進をはじめました。あれを見たら、普通の人は「こんな気持ち悪いのが日本人か」と、自虐的ナショナリズムに走りそうな感じです。

このあと、「在特会」は河原町に沿って南下し、歩道をプラカードをもって歩く僕らと通行人に対して、おぞましい声を上げていました。ああいうデモがあることで、今後の京都のデモにも影響があるかもしれませんね。

四条に達したところで、歩道の近くで爆竹が鳴ったのですが、そっちがやったのか不明でした。感想として、非常に熱狂的で、かつ組織もされている集団のデモにどうやって対抗するか、はっきりする必要があるかと。市役所、河原町で、「在特会」が盛り上がったのは、半分は僕たち反対デモが見える形でいて、散発的な抗議行動をしていたからで、「在特会」を圧倒する場面はなかったと思います。やるならやるで桜井が喋れなくなるほどやるか、もっと効果的で賢い方法を考えないとなと思いました。

「在特会」は、打ち上げでは30名ほどで京都駅で飲んでたそうです。市役所の段階で、関西の人たちと関東組(たぶん14人くらい)が交流していたので、関西への組織的な広がりはこれからかと思われます。

2009年6月19日金曜日

川崎市の「議会基本条例」可決のおぞましさ

みなさんへ

川崎市が川崎市議会基本条例を可決しました。政令都市としては初めてのことで、全国の注目を受けているそうです。

「外国人市民代表者会議」をはじめ「自治基本条例」「住民投票条例」など川崎市は先駆的で、市民重視の政策を次々と具体化していると見られているようです。しかし今回の「「議会基本条例」も徹底した非公開を
貫き、委員会審議もなく、市民への説明会もないという有様です。

そのうえ、市民からの質問も議会で可決した翌日に審議するという愚かさです。パブリックコメントなど自己正当化のための儀式は一応やっているようですが。

多くの市民運動をする人や学者は、川崎の実態を知らず、文書だけを読み判断しているようです。物事はしっかりと実態を直視しないと、その本質を知ることはできないという教訓です。

ずっとこの間、川崎市議会のあり方を模索し、議会の実態を注視してきた吉井さんの報告です。

崔 勝久
SK Choi


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各位

議会への請願に追加署名をされた方へ出しています。全部ではなく、また、署名されていない方もおられるかもしれません。お許し下さい。

6/17 反対1名!退場1名!川崎市議会基本条例可決
6/18 議決の翌日に関連「請願」を審議する愚劣さ

川崎市議会は非公開審議を意固地に貫き通した。6/17の本会議の儀式だけで、委員会審議はまったくない。
住民への説明会も開催されず、パブリックコメントだけで恰好をつけたが、その内容を取込むこともなく、素案のままであった。
http://www.city.kawasaki.jp/council/project/pdf/gikaikihonjourei.pdf
具体案がどこのもなく、議会権限強化にポイントをおいている。

反対者は猪股美恵議員(無所属)
退場者は三宅隆介議員(民主党)

「川崎市議会が政令市初の議会基本条例案可決」
政治・行政 2009/06/17 カナロコ
http://www.kanaloco.jp/localnews/entry/entryivjun0906430/

全国の政令市市議会の視察が相次いでいるということだが、視察の方には決して真似しないようにお薦めする次第である。

さて、筆者はH21/2/23付けで請願を川崎市議会へ提出した。
追加署名 53名

請願第70号
『「住民に開かれた方法で「議会基本条例案」を策定することに関する請願』
1)「議会基本条例案」を検討する会議は、これまでの非公開を改め、公開する
2)中間報告について住民への説明責任を果たし、住民との対話を活性化させる
3)住民からの議会改革に関する提案・要望を今後の会議の議論に反映させる

 これが 翌6/18午後1時から議会運営委員会で審査された。
 筆者は仕事の都合もあり、傍聴しなかったが。
 
 2/23付け提出で、審査は6/18である。「議会基本条例案」は前日に可決!
 約4ヶ月の間、何もせず、条例採択の翌日に何を審査するのであろうか。
 前代未聞!というべきである。

 6/18夜事務局より連絡、
 「継続審査ー正副委員長預かり」「正副委員長が話をしたい」、
 だいたい意図が読める。
 おそらく、「不採択」と「継続」の食い違いが若干あり、結論が出ず、
 通常このような場合、「継続」でお茶を濁す、しかし…
 そこを「正副委員長預かり」にしたのは、請願者へ取り下げを求める意図であろう。


 こんなずるっちいことを良く考えるな!責任意識のかけらもない。
**************************************************************
吉井 俊夫 〒213-0013 川崎市高津区末長 1412-1-301
 yoshii_t@m4.dion.ne.jp ・FAX 044-833-7643

2009年6月18日木曜日

「在特会」の動き許せませんね。

「在特会」の動き許せませんね。
京都での緊急行動の成功うれしいですね。
川崎の市会議員にも強制連行はなかったなどと発言し,平和館の
展示にも異議申し立てをしている民主党・三宅氏がいます。

8月に対抗して講演会(「朝鮮人戦時労働動員」という著書のある
樋口一雄さんと在日のハラボジ,朴 在銀さんから話を聞き、学ぶ)を
計画中だそうです。詳細が決定次第多くの人に参加を呼びかけたいと
思っています。

KM

2009年6月17日水曜日

外国人排斥を許さない6・13緊急行動実行委員会からのメール

「在特会」お京都でのデモに対して、
「排外主義を許さない」と300名もの人たちが集まったそうです。
「外国人排斥を許さない6・13緊急行動実行委員会」からの
メールを転送します。

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崔 勝久
SK Choi


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外国人排斥を許さない6・13緊急行動実行委員会からのメールを転送します。


Subject: 外国人排斥を許さない6・13緊急行動実行委員会です

<外国人排斥を許さない6・13緊急行動>に参加・賛同して頂いたみなさま外国人排斥を許さない6・13緊急行動実行委員会です。

6月13日の行動に参加されたみなさま、大変、お疲れ様でした。そして、ありがとうございました。緊急の呼びかけにも関わらず、デモには約300名、情宣には100名以上の方々が参加してくださり、緊急行動を終えることができました。深く御礼申し上げます。

当日までに700名以上の賛同も頂き、参加することができなかった方々のエールに励まされ、行動を完遂することができました。
http://613action.blog85.fc2.com/

「在特会」側の行動は、大変挑発的なもので、京都の繁華街である河原町通では、差別的な言辞・罵詈雑言の数々を繰り返しました。その光景に、歩行者の方々もひいていたのではないかと思います。しかし、それらは放っておくことのできない許し難いものでした。

こちら側は、逮捕者も出さず、チラシも撒き切り、四条河原町では、抗議のアピールを通して、緊急行動のメッセージをひろく訴えることができたのではないかと信じます。引き続き、排外主義を許さない社会をみなさんと一緒につくっていければと考えます。

また、行動に際して、みなさまから頂いたカンパ総額は42,881円となりました。誠にありがとうございました。支出等は、追ってご報告差し上げたいと思います。

改めて、緊急行動への参加・賛同に深く御礼申し上げます。ありがとうございました。

外国人排斥を許さない6・13緊急行動実行委員会

2009年6月15日月曜日

日本学術会議主催講演の意外な結末

日本学術会議主催講演の意外な結末

6月6日(土)、「グローバル化する世界における多文化主義:日本からの視点」をタイトルとする日本学術会議主催の公開講演会があり、私たちは4名参加し、つぶさに日本学術会議の実態を見ましたので、その報告をいたします。

8月にバンコックで開かれるアジア社会科学協議会連盟(AASSREC)第18回大会に向けて、その「大会への日本からの報告をより充実したものにすることを目的」とすると、開催趣旨に記されています。4名の講師が選ばれ、ある意味でアジアの社会科学研究者に向けて、日本の社会科学の水準を世界にお披露目する内容を公開したことになります。

講演の内容は以下の通りです。
・「“多文化共生”の問題と課題:日本、西欧を視野に」(宮島喬 法政大学教授、日本学術会議連携員)、
・「日本在住外国人にかんする法制度」(近藤敦 名城大学教授)
・「“多文化共生における労働市場・労働力移動」(井口泰 関西学院大学教授)
・「“多文化共生社会における教育のありかた」(佐久間孝正 東京女子大学名誉教授)

いずれも日本国内だけでなく海外で発表されることを意識した、日本の「多文化共生」を賛美するより、その問題点は何かをあきらかにしようとした、短時間でしたが熱のこもった内容のある講演であったと思います。

「多文化共生」がいずれも学問的には英訳がない(即ち、日本独自のもの)ということをしっかりと認識させられました。この指摘は伊藤るりさんが学術会議で講演された内容と重なると思われます。
(http://anti-kyosei.blogspot.com/2009/02/blog-post_09.html)

「多文化共生」が地域の中から生まれた運動と概念ということを最も強調されたのは、井口泰教授でした。地域の中にリアリティがあり、政府が指針を出さないのであれば、(自分がアドバイザーをしている)外国人集住都市会議で先にだしていきたいという意欲まで示されていました。しかし私には、地方自治体の公務員が中心となっているその「外国人集住都市会議」でどれほど、外国人住民の声が反映される形で運営されているのか、わかりません。

4人の講演の中で、私が最も注目したのは近藤敦教授の発言で、在日外国人研究者に門戸を閉ざす、日本学術会議は世界の同類の会議に比して問題があるということを明確にされたことです。

しかし日本学術会議の内容を知るようになったのは、質疑応答と最後の閉会挨拶での「出来事」です。私が「意外な結末」と記したのはそのためです。まず、質疑応答の最後の最後に宮島教授が「重大な問題提起がありました」と前置きして話されたのは、「日本学術会議そのものが在日外国人研究者を排除する国籍条項をもっているというのは、宮島教授の発題の趣旨とはちがっているのではないか」という(私の名前を記した)質問に対して、「違います。国籍条項の問題は学術会議の委員会の中でも発言しています。学術会議としてどのような取り組みをしようとするのかは閉会の挨拶で(今回の公開講演会主催の責任者である、第一部人文・社会科学部長の広渡専修大学教授から)説明されると思います」と話されました。

広渡教授は挨拶の最後でその問題に触れ、「忸怩たる思い」と心情を吐露され、日本の学問研究が日本人だけでなりたっているわけではないという事実の上で、ご自分も学術会議の国籍条項は問題であるという認識を示されました。しかし同時に、今、外国人研究者を会員にするのであれば民営化すべきという声があがっていることを公に話されました。

これは何を意味するのか、収益構造の全くない日本学術会議を民営化するということは、経済基盤として今回の後援をした日本経営工学会、日本システム学会、日本セキュリティ・マネジメント学会など企業と関係の深い学会がその中心になるか、自然科学系の医学や情報学などさらに企業との関係が深い第二部(生命科学)部門、第3部(理学・工学)部門が企業からの支援を得て学術会議を運営するというのでしょうか(まさか!)。

外国人研究者を会員にするということを学術会議(事務局及び政府・官僚)がそれほど嫌がっているのは、学術会議会員は、国家公務員になると法律にあるからです(詳しくは私が事務局とやりとりした10通のメールの分析をご覧ください。http://anti-kyosei.blogspot.com/2009/06/blog-post_09.html)。事務局の誠意ある迅速な反応で示された回答では、外国人研究者は会員になれない理由をあげています。それは、「当然の法理」という内閣の見解があるからです。

民営化の「脅迫」をされているところで事務局が準備しているのが、「友会」という外国人用の特別な会員を作るというものです。これは川崎市が「外国人市民代表者会議」などで創作した「外国人市民」という概念、住民基本台帳を「改正」して今度は「外国人住民」とするという政府の方向性と軌を一にするものです。いずれも外国人を一定の枠にいれてあたかも日本人市民、日本人住民と同じといいながら「二級市民」という枠の中で処理しようとする発想だと思われます。

これで日本学術会議のもつ問題点がはっきりしました。民営化の路線をとって、外国人研究者を会員にして学術会議も民主的になったと内外に示すのか、国籍条項はそのままにして、「当然の法理」を問うことなく折衷案として「友会」という枠に外国人研究者を押し込めるのか、民営化案を粉砕し同時に国籍条項も撤廃するのか、この3案のなかで決められるでしょう。

いずれにして今準備されている(誰がどのような基準でメンバーが決定されるのかはわかりませんが)委員会で審議決定され、それを幹事会が承認したら、総会にかけるというのですから、そこで日本学術会議総体の思想の水準が明らかにされると思います。ここはどういうことがあっても、日本の右傾化を阻止し、内外ともに開かれた社会にするために、210名の会員、1900名の連携会員のみなさんにはがんばってもらいたいものです。

2009年6月10日水曜日

「人権・共生」の街 川崎市の「当然の法理」―朴 鐘碩

みなさんへ

朴鐘碩が「外国人への差別を許すな・川崎連絡会議」掲示板で、
「「人権・共生」の街 川崎市の「当然の法理」」について
投稿している意見を転送します。

川崎における「当然の法理」がどのようなものかの解説が
なされています。その問題は私も『日本における多文化共生
とは何か』で触れていますが、今回朴鐘碩は、本にはない
新たな指摘をしています。

前市長の高橋清(革新系)もまた、現阿部市長と同じ
考えであることがわかります。保守、革新に拘わらず、
いかに国民国家の枠のなかでナショナリズムに捉えられて
いるかよくわかります。

それとどうして外国人問題に関心を示す人が「善意」で
いいことをやってあげているという発想でいるのかという、
パターナリスティックな面がよくわかります。

「一般職だって、その2割のところにつけなければ、あとの8割で活躍してもらえばいいんです。8割というのは大部分でしょう。学校の点数だって80点取ったらものすごくいい成績です。それを2割のために『だめ』と言っているのはおかしい。2割のところの職につけなくても、8割のところで職につければ大丈夫なんです。」(「月刊社会民主」’96年11月)
崔 勝久

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「人権・共生」の街 川崎市の「当然の法理」―朴 鐘碩
「戦後とは植民地である」「植民地を隠蔽し私たちに見えなくさせる大きな力が働いている。そしてその力こそがまさに植民地主義ではないだろうか」(西川長夫)

採用した外国籍公務員の職務を制限する、112頁の「外国籍職員の任用に関する運用規程-外国籍職員のいきいき人事をめざして-川崎市」(「運用規程」)に以下のように記されている。
「昭和28年に内閣法制局は、「法の明文の規定でその旨が特に定められている場合を別とすれば、一般にわが国籍の保有がわが国の公務員の就任に必要とされる能力要件である旨の法の明文の規定が存在するわけではないが、公務員に関する当然の法理として、公権力の行使又は国家意思の形成への参画にたずさわる公務員となるためには日本国籍を必要とするものと解すべきであり、他方においてそれ以外の公務員となるためには日本国籍を必要としないものと解せられる」との見解を示した。

新たな公権力の行使に対する考え方に基づく市職務判断基準
川崎市の職務が「公権力の行使」に該当するか否かの判断基準を次のように導き出した。職務判断基準:命令・処分等を通じて、対象となる市民の意思にかかわらず権利・自由を制限することとなる職務
(例)命令・処分等
1都市計画等の決定
2税の賦課
3調査(立入検査、収去等)
4命令(改善、回収、廃棄、制限、禁止等)
5強制執行(代執行、税の滞納処分、隔離等)」

川崎市は、単なる見解に過ぎない「当然の法理」を理由に、当時3509ある職務から一律に許認可、決裁権ある192(「運用規程」が完成した1997年は182)職務を抽出し、外国籍職員に職務を制限しました。
これは、労働基準法第3条(均等待遇)「使用者は、労働者の国籍、信条又は社会的身分を理由として、賃金、労働時間その他の労働条件について、差別的取扱をしてはならない」と職業安定法第3条(均等待遇)「何人も人種、国籍、信条、性別、社会的身分、門地、従前の職業、労働組合の組合員であること等を理由として、職業紹介、職業指導等について差別的取扱を受けることがない」に違反しています。法律よりも「見解」が優るのでしょうか?

国籍条項撤廃宣言した高橋清市長(当時)は、3509の職務を分析し、そのうち182を制限したことについて「一般職だって、その2割のところにつけなければ、あとの8割で活躍してもらえばいいんです。8割というのは大部分でしょう。学校の点数だって80点取ったらものすごくいい成績です。それを2割のために『だめ』と言っているのはおかしい。2割のところの職につけなくても、8割のところで職につければ大丈夫なんです。」(「月刊社会民主」’96年11月)と語っています。
この発言は、国籍条項を撤廃し門戸を開放したから、差別があっても文句言わず我慢して働きなさい、という上からの温情主義(パタ-ナリズム)です。

「市民の意思にかかわらず権利・自由を制限することとなる職務」とは、どのような職務でしょうか?公務員は法律に基づいて職務を遂行しますから、公務員が勝手に、「市民の自由・権利を制限する」ことはできません。必ず条例に従い、上司の決裁が必要となります。
民間企業も業務を遂行するために担当者の勝手な意思決定は許されず、必ず上司(主任・課長・部長・幹部)の決裁が必要になります。自治体も同じです。

「運用規程」のサブタイトルは「外国籍職員のいきいき人事をめざして」と書かれているのに、何故、「国籍」を理由に職務を制限(差別)するのでしょうか?
民間企業の就職差別をなくすように監督、指導すべき川崎市は、自ら「運用規程」を作り、差別を制度化したわけです。しかし、「運用規程」は、市長の裁量で廃棄・撤廃できます。

このいい加減な「当然の法理」で、企業を指導する自治体が外国籍公務員を職務(消防職・校長・教頭にも就けない)からを排除・差別するかぎり、民間企業の偽装請負・談合をはじめとする不祥事はなくならず、弱者である非正規、派遣(外国人)労働者への不当解雇もなくならないでしょう。自治体、日本学術会議の「当然の法理」(排外主義思想)は、戦後、60年以上続いている国民国家形成のための「植民地なき新植民地思想」です。

朴鐘碩
「外国人への差別を許すな・川崎連絡会議」
掲示板より:http://homepage3.nifty.com/hrv/krk/index2.html

2009年6月9日火曜日

日本学術会議事務局からの最終回答

日本学術会議事務局からの最終回答


これまで10通にわたるメールのやりとりで、外国籍研究者に対する日本学術会議事務局の現在の考え方と、今後の方針についてのほぼ全容がわかりました。

基本的な考え方は、以下の通りです。

1.「会員は国家意思の形成への参画に携わる国家公務員であるため、公務員は日本国籍者に限るとする政府の「当然の法理」の考え方に従い、日本国籍が必要である」。

2.「在日外国人研究者に外国人会員すなわち会友などという名称で学術会議の会議等に参加していただくことを検討するための委員会の開催の準備」をしている。

3.委員会で審議した内容を幹事会が審議し、承認された内容を会員の総会で審議し承認が得られれば、日本学術会議の最終意思決定となり、内閣が承諾をする。

4.「国籍要件についても、少なからず議論の対象にはなる」。



「学術会議では、在日外国人研究者の学術会議への参加を検討するために、「外国人会友(仮称)制度検討委員会」という委員会を設置する、ということが幹事会で承認されております」とありますが、「外国人会友」というカテゴリーを前提にして委員会で審議される可能性が高く、幹事会及び総会でそれを覆し、研究者の国籍を問わない、即ち、国家公務員であっても日本学術会議会員・連携会員として認めるようになるのかどうかは、最終的には会員・連携会員の見識によるということになります。しかしそれでも最終的には内閣の承諾によるので、私は楽観は許されないように思います。さて、どうなりますことやら。


崔 勝久


以下のメールは事務局からの4.5回目の回答です。1-3回の回答については、ブログを参照ください。http://anti-kyosei.blogspot.com/2009/05/blog-post_7770.html



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日本学術会議事務局 企画課        6月7日
坂本、兼平さんへ


過日、以下の御回答をいただきありがとうございました。

「日本在住の外国人研究者にも学術会議の委員会等に参加していただくようにした方がよいという意見が会員の中からも出ているので、在日外国人研究者に外国人会員すなわち会友などという名称で学術会議の会議等に参加していただくことを検討するための委員会の開催の準備をしております。」



在日外国人研究者に、「外国人会員すなわち会友」などの名称での学術会議参加を検討する委員会開催の準備をされていると理解いたしました。 前向きな姿勢で対応されようとなさっていらっしゃることに敬意を表します。

質問がございます。


1.学術会議として外国人研究者をどのように遇するのかの最終意思決定はどのような手順を踏むのでしょうか。委員会で検討した案を事務局が内閣に提案し、承諾を得るということになるのでしょうか。その場合、委員のメンバー選出は事務局がするのでしょうか、あるいは公募という形をとるのでしょうか。前者の場合の選定基準は何でしょうか。


2.或いは事務局が委員会の結論を各会員に提示し意見を求めるのでしょうか。その場合は、会員間での議論の上、多数決で学術会議の意思決定ということになるのでしょうか。


3.学術会議会長が任命する連携会員の場合には、どのような手順を踏まれるのでしょうか。2と同じ手続きを経るのでしょうか。


4.学術会議の決定は世界が注目することと思われます。会員及び連携会員が国家公務員であり、政府への答申・助言をすることが「公の意思形成」にあたり、「当然の法理」という内閣の見解によって日本人に限るという考え方が学術会議の実態にそぐわず、国籍条項撤廃をするべきという意見が会員にあるものと思われます。その点に関する委員会、会員・連携会員間での議論は保証されるのでしょうか。


よろしくご回答をお願いいたします。

崔 勝久


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崔 勝久様                 6月8日(4回目の回答)


お世話になっております。日本学術会議事務局です。お返事が遅くなって申し訳ありません。お問い合せの件についてお答えいたします。


先日、お知らせしましたとおり、学術会議では、在日外国人研究者の学術会議への参加を検討するために、「外国人会友(仮称)制度検討委員会」という委員会を設置する、ということが幹事会で承認されております。

その委員会の委員については、設置要綱により、学術会議会長と副会長(3名)、及び各部の役員からそれぞれ1名の、合計7名で構成されております。各部の役員から選ばれた委員は、役員間の話し合いにより決定された人になります。
この委員会で、外国人会友(仮称)制度に関する事項を審議することになります。

この委員会で何度か審議を行い、決定した事項については、幹事会というものに提示し、幹事会メンバーで審議し、幹事会の承認を得ることになります。

幹事会で承認された事項については、年2回開催されるすべての学術会議会員が出席する総会というものに議案として提示して審議し、そこで会員の承認が得られたら、学術会議の最終意思決定をすることになります。このような手続きで進むことになります。

よろしくお願いいたします。

日本学術会議事務局 企画課

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日本学術会議事務局 企画課        6月8日

坂本、兼平さんへ



折り返しのご返事ありがとうございます。御回答の趣旨はよくわかりました。
御丁寧なご返事、ありがたく拝受いたしました。最後の質問をさせてください。

1.「すべての学術会議会員が出席する総会」とは連携会員を含めてのはなしでしょうか。

2.「外国人会友(仮称)制度検討委員会」で検討される内容は、国籍条項を前提にしたうえで、外国人研究者のための特別会員という内容であるように思えるのですが、国籍条項の撤廃を含めての議論は保障されるのでしょうか。



崔 勝久


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崔 勝久様                6月9日(5回目の回答)



お世話になっております。日本学術会議事務局です。

ご質問についてお答えします。


1 総会を構成するのは会員(210名)だけで、連携会員は総会の構成員にはなっておりません。

2 具体的にどのような内容を審議するかはまだ決まっていないので何とも言えないのですが、外国人研究者の方に学術会議に参加していただくにはどのようにすればよい のか、ということが審議の中心になると思われますので、国籍要件についても、少なからず議論の対象にはなると考えられます。


よろしくお願いいたします。

2009年6月8日月曜日

齋藤純一さんの講義内容ー民主的公共生と条件について

みなさんへ

6月6日に、齋藤純一さんを囲んで学習会をもちました。
「民主的公共性の理念と条件について」というタイトルで
話された講演内容の要旨を下に掲載いたします。
学習会の要旨は毎回、望月さんにお願いしているのですが、
今回もありがとうございました。私からしたら、あんな
むつかいしい話をどうしてテープもなく、1日で要約できるのか、
まさに神業ですね。

3時から始まった講義は途中での質疑応答を含めて、終わった
のは休憩なしで6時を回っていました。

齋藤さんの、政治思想史を専攻する研究者として明晰な分析と、
言葉の定義について、日立という企業の現場や地域における
当局とのやりとりから経験したことを率直に話し、その点に
関する齋藤さんのご意見を伺い、大変、貴重な学習会に
なりました。いくら閉鎖的な現場であってもあきらめずに
やりぬくことをアドバイスいただきました。
改めて、齋藤さんに感謝申し上げます。

単語の本来の語源、ヘーゲルやカント、ハンナ・アーレントを
引用しての言葉の使い方や、定義も話していただき、今後の
闘いの武器になると思いました。

二次会では10時過ぎまで、さらに率直な意見交換をして、
齋藤さんの人柄をよく知る場となりました。
無礼講、お許しを!

私個人としては、在日の政治参加について、国政選挙であれ、
選挙権・被選挙権は当然あってしかるべきという説明については、
「政治思想史」的観点と現実との乖離は、どのように埋めるのか、
その「思想」の検証はどこでなされるのか、さらに突っ込んだ
意見交換をしたいと思いました。

最後に、日本学術会議会員の国籍条項に話が及んだ時、齋藤さんは
御自分も連携会員であると話され、学術会議で国籍条項撤廃に
ついてしっかりと話し合ったらそんな筋の通らないことはあり
えないし、それはわかってもらえると思う、話が通じないときには、
脱退すればいい、という飲んだ席での話でした(何せ、5人で
焼酎5本、生ビール10杯以上飲んでみんなべろんべろん
でしたから!)。

私はそこに彼の楽観性と、人の良さを感じました。その楽観性が
「政治思想史」研究者という特性からくるものなのか、彼本来の
個性なのかわかりませんが、「長い目で見てほしい」という最後の
言葉(実は最初会ったときにも同じことを聞きました)を信じる
ことができると思いました。

崔 勝久

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講義要旨 民主的公共性の理念と条件について
          斎藤純一(早稲田大学教授)

          期日6月6日 場所日本キリスト教団川崎教会

             2009年6月8日     望月文雄 文責

A,デモクラシーの理念と政治的権利(ハンナ・アレントに準拠)
(1)デモクラシーの理念とは、各自が政治的自律を持つこと。自分自身の生を規定する意志形成・意志決定過程に参加しうること、それによって影響を被るすべての関係者が同意しうる意志決定のみが正当性をもつ。

(2)民主的開放性 デモクラシーの基本はauto(自身・独自)+nomos(慣習・掟)でリベラリティー(公平無私・寛大)が伴う、意志決定の場であり、国民内部ででは公共の意志決定ではありえない。複数の国籍を視点に、正統性(legitimacy)に焦点を当てて、全ての人の理念を共有される必要がある。求められるもは閉鎖性(クローザー)ではなく開放性(オ^プン)である。

(3)政治的権利 参政権+コミュニケーション権(これはハーバーマスの社会理論による)「理性の公共的使用」という観点は18世紀のドイツ人哲学者イマヌエル・カントが発表した市民の権利で、「諸権利を持つ権利」(「唯一の人権」)…「自らの意見や行為に対して応答が返されうる枠組みのなかに生きる権利」とアラントはいう。ユダヤ系ドイツ人である彼女の体験を踏まえての言葉。さらに、政治的存在者として他者に向かって話しかける権利を「熟議deliberationを始める権利」とボーマンは提起する。

B,熟議デモクラシー(deliberative democracy)の構想
各自の成熟度会いが前提とされる。それによって公共的に要求できる権利が規制される。そこで要求できる権利についての考察が必要である。goodとrightという概念の整理をまず行う。goodは他から判断され得ない事柄で、宗教信仰・信心の部類で、審議の対象になならない。rightは意志形成のプロセス(procedure手続き)が共有できることがら。

ここでは(1)利益集約/調整型デモクラシーとの対比が必要で、それは①利害関心/価値観の相互修正、②他者は異なったパースペクティヴ(見方)をもつ対話の相手、③第三者の立場をも考慮する公共的パースペクティヴ(見方)の形成が要求される。

 カントは自己中心に対して自分自身への複数の観点に立つ必要性に言及している。それは第三者の立場から私たち(自分たち)の立場の考察を意味する。ここにdeliberation(熟慮・審議=理由の検討)、過重負担を排除していく力の必要性がある。

(2)理由の検討 熟議/討議の過程で従来非理性的という見解で除外されてきた感情は、損なわれた/充たされない規範的期待としてとらえる必要がある。これの解決方法として考慮されなければならないことが、様々な理由が存在するということこれを「理由のプール」といい、これは熟議/討議の実践を通じて修正されていく。理由は性規範とか差別、偏見など多岐にわたる。

C,公共圏と政治過程(公共圏=pubics)政治的な意見形成・意見形成が行われる議論の空間。公共性はさまざまな(競合する)公共圏の〈間〉として理解される。この論理はハーバーマスの理論(住民の意向収集と合意形成)に準拠して展開する。

(1)二種類の公共圏の連携プレーが必要とされる。一般的にはフォーマルな公共圏「〈意志決定〉の境界」がインフォーマル〈意見形成〉境界を持たない、公共圏(議会)を設定していく。ここに、公共圏の正当性、行政システムのチェック(監査)が必要となる。さらにデリバレーションへの参加、不参加、また、内部的な問題、たとえば、専門性などの要因が入り一致が困難になる。デリバレーション形成体の持つ制限として、参加者の話し方、問題意識、感覚の多様性、表現の方法などが現れる。

(2)熟議/討議と動員
 熟議/討議にもとづく意思形成ー意志決定のみが民衆的正統性をもつのであるが、限界の存在を無視できない。それを超えるには、①熟議の場からの規範的閉鎖性、言説の資源の排除。②公共的アテンション(注目)を引くための直接行動(ディスプレイ〈展示する〉の政治)の必要(街頭公共圏)。ナチズムはこれによって成立したといえる。反対に不服従運動で展開などが存在する。

ここで「公共の福祉」また「公共性」についての質疑応答がなされたが報告からは割愛。

D,(定住)外国人をめぐる政治 
(1)市民による暴政("citizen tyranny"M,Walzer=マイケル・ウォルツァー(Michael Walzer, 1935年3月18日-)は、アメリカ合衆国の政治哲学者。プリンストン高等研究所教授。)に抗して
 公共的な意志決定(議会等)によって影響を蒙る人びとからの政治的権利の剥奪。参政権問題、少数者代表の制度化。マイノリティーが政治的参政権を得てもそれをマジョリティーに反応させ得るか。

(2)民主的「正統性」の間接的調達 聞く者と聞かれる者の間に、相互信頼性が欠如している。地方行政での名目的政策「外国人市民代表者会議」や、国際交流協会などが形成されていても、差別の撤廃に繋がらない事例多々。

(3)外国人の排斥と需要
 ショーヴィニズム(狂信的愛国者・極端な排他主義)の傾向(e,g,"Welfare chauvinism"「在日の特権を許さない会」)。フランスをフランス人の手に取り戻すという極右てきグループ。大統領選挙で15~35%の得票率、日本の外国籍労働者の需要はダーティワークの強要などの見られる状況。

E、政治の変容のもとでの自治
(1)「統治の統治」化
 一元的で直接的な統治から多元的で間接的な統治へ。個人や集団の能動的な自己統治の促進とそれに対する監査(audit system)。これは様々な企業で自己査定申請という形式で行われている。大学の教授である自分も年に2度3度、実行させられている。言葉を変えれば昔の植民地主義から現代の新植民地主義への変更に等しい。サッチャーの自己責任論を回答したグローバリズムの実態に即応している。

(2)自律的公共圏として機能するアソシエーション(association連合・共同)へ
監査基準の民主化はactive citizenship積極的市民権によって可能性が高まり、ニーズ(必要性)は従来上から示されて来たが、自分たちで詰めていく必要があるのでしょう。事例として植民地でプランテイションに組み込まれていた農民たちがオールタナティヴな制度の創出として、産地直販売を開始し始めている。

2009年6月4日木曜日

学習会の報告の訂正

学習会の報告の訂正

5月31日の学習会の報告に関して、質疑応答の発言者から訂正の申し入れ
がありました。
内容については指摘の通りと判断し、訂正内容を公にいたします。

崔 勝久

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指定都市(川崎)における住民参加の仕組みについて考える学習会の報告についての質疑応答について、発言主旨と異なる内容、表現がありますので訂正して下さい。


●区民議員(誤)→区民会議委員(正)

●区民議会(誤)→区民会議(正)

●実態は市会議員の出席を市長から要請されていて(誤り)→条例で区選出市会議員は「参与として当区民会議に出席することが出来る」とされている。

●選出議員は4名(誤り)→市民公募委員は4名(区により異なる)

●年間4回の議会を市議会場で行おうという案が市側から提案されています。(誤り)→区民会議の全体会議は年4回程度開催される(区により異なる)。今回、7区の区民会議の情報交換を目的に開催する会場として市議会議場を使用する案が参与である市議から提案された。

●議会は市民が話からの議題提案はなく、懇親を目的の食事会が殆んど(誤り)→区民会議委員と市議会議員との情報交換懇談会で上記の市議会議場での案が提案された。

以上

「在日特権を許さない市民の会」(「在特会」の動きが京都でもあります

京都の「外国人排斥を許さない6・13緊急行動実行委員会」から
間接的にメールがありました。これまで右翼の主張であった、
外国人排斥の動きが急速に市民運動として展開され始めています。
日本社会の閉塞状況がこのような似非愛国運動として出始めた
ものと思われます。
個人、団体であれ、支援のメールをお願いします。

この「在特会」のターゲットとして「共生の街」川崎を
標的にするのは間違いないと思われます。


崔 勝久

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

6月13日に、「在日特権を許さない市民の会」が京都でのデモ
を予定しております。

http://www.zaitokukai.com/modules/news/article.php?storyid=232

京都では実行委員会を結成し、このような排外的な行為を許さ
ない世論を喚起しようと、行動を予定しています。また、呼び
かけに対する賛同を募集しております。どうぞ、お力をお貸し
ください。

以下、案内を掲載致します。

-----以下、転送転載歓迎です-----

<外国人排斥を許さない6・13緊急行動への参加・賛同の呼 びかけ>

★6月13日にデモを企画しています★
 音楽あり踊りありシュプレヒコールありのデモです。
 在特会の主張に違和感を持つ方は、その気持ちを表現するた
めに是非!是非!ご参加下さい。一人でも多くの方の参加が本
当に必要です! 当日の参加が無理な方は、匿名でも構いませ
んので賛同をお願いいたします!
(↓当日のスケジュール、賛同の送り先は下の方にあります ↓)

 2009年4月11日埼玉県蕨市で、不法滞在を理由として
両親が強制送還され、日本政府により家族と別れて暮らすこと
を強いられた中学生のカルデロン・ノリコさんの自宅・学校に
押しかけるという卑劣なデモがありました。その内容は外国人
を犯罪者と断定し、日本から追い出せという主張でした。主催
したのは「在日特権を許さない市民の会(在特会)」などです 。

 今回その在特会などが、京都市で外国人参政権に反対するデ
モをしようとしています。私たちは今回の彼らの行動が、京都
にとどまるものではなく、また外国人参政権を巡る問題だけに
とどまるものでもなく、日本に新しく現れた排外主義的な動き
であると捉えています。今はまだ彼らの動きは大きくないもの
に見えますが、不況下においてファシズムや外国人差別が肥大
化した歴史を思い起こすとき、今回の動きを見過ごすことは出
来ません。そこで私たちは今回彼らがデモをしようとしている
6月13日に抗議の意味を込めて、「外国人排斥許さない6・
13緊急行動」としてデモを企画しました。

 このような外国人排斥の風潮を許さないのだという強い意志
を全国的に示すことが今必要とされているのではないでしょう
か。時間が限られた中で恐縮ですが、本行動への皆様の参加と
賛同を広く呼びかけます。

★外国人排斥を許さない6・13緊急行動★
◆日時 6月13日(土)
 11:00 京都・三条河川敷集合→11:30 デモ出発→12:30 
デモ解散(三条河川敷)→解散後ビラ配り

◆主催:外国人排斥を許さない6・13緊急行動実行委員会
◆連絡先: 613action@gmail.com


==メールフォーム(下記をコピー&ペーストして
613action@gmail.com までお願いします)==

●外国人排斥を許さない6・13緊急行動に賛同します。
I sympathize with the “6.13 Emergency Action.”
○賛同団体・個人名(肩書きがあれば) Name(individual or group)

○公表します・公表しません Can we publish the name? (Yes or No)

○一言メッセージなどあればお願いします Post your message,
if you have.

==================================================

 ナチスが共産主義者を攻撃したとき、自分はすこし不安であ
ったが、とにかく自分は共産主義者でなかった。だからなにも
行動にでなかった。次にナチスは社会主義者を攻撃した。自分
はさらに不安を感じたが、社会主義者でなかったから何も行動
にでなかった。それからナチスは学校、新聞、障害者、ユダヤ
人等をどんどん攻撃し、そのたびに不安は増したが、それでも
なお行動にでることはなかった。そしてナチスは教会を攻撃し
た。自分は牧師であったから行動にでた。しかし、そのとき自
分のために声を上げてくれる者はいなかった。
(マルティン・ニーメラー・ナチスに抵抗したルター派牧師)

■6月3日18時時点での賛同は個人・団体合わせて128名です( 敬称略)。
【個人】
青柳行信(NGO人権・正義と平和連帯フォーラム・福岡代表 )、浅井美里、
在野真麻(Wheelchair's EYE)、RS(東京都) 、五十嵐守、石原みき子、
稲葉奈々子(茨城大学准教授)、イダ ヒロユキ、伊藤公雄(京都大学教授)、ぅきき、
宇野善幸(大学院生)、梅尾直人、遠藤礼子、大須賀護(仏教者)、大月英雄、
岡晃子、小野俊彦(fuf)、各務勝博(京都プレイバック シアター)、垣渕幸子角崎洋平、
叶信治(東九条のぞみの園副施設長)、河添誠(首都圏青年ユニオン書記長)、川端諭、
木谷公士郎(司法書士)、木下直子、金友子、草加耕助(京都 市民・『旗旗』サイト管理人)、
熊沢誠(研究会「職場の人権」代表)、黒瀬隼人(自由労働者連合評議会議長)、
黒目(有象無象)、高敬一(KMJ事務局長、NPO法人サンボラム理事長)、
上瀧浩子(弁護士)、近藤昇(寿日雇労働者組合)、酒井隆史(大阪府立大学准教授)、
崎山政毅(立命館大学教員)、櫻田和也(indymedia japan)、佐藤恵(カトリック正義と平和協議会)、
さぶろう(東京)、澤田春彦(自由労働者連合)、
塩見静子、嶋田頼一、首藤九尾子、白崎朝子、鈴木耕太郎、高
橋淳(生活書院)、高橋慎一(ユニオンぼちぼち)、竹林隆、
田中渥子、田中玲、立岩真也(立命館大学教授)、張ヨンテ、
鶴見俊輔(哲学者)、冨田成美、中倉智徳、中村和雄、仲村実(
管理職ユニオン・関西副委員長)、西浦隆男、西岡裕芳、野々
村耀、ハギハラカズヤ、橋口昌治、橋野高明、原田光雄(聖公 会司祭)、
濱西栄司(京都大学大学院)、樋口直人(徳島大学准 教授)、
平田正造(ヨシノ支援プロジェクト代表)、平田義(愛隣館研修センター)、
藤井かえ子(神戸YWCA)、藤谷祐太、浩、細川孝、堀田義太郎、堀内慶子、
堀江有里(日本基督教団・牧師)、前川純一、松本朗、南守、三牧建一、村上麻衣、
村木美都子(NPO法人東九条まちづくりサポートセンター事務局長)、村田豪、
盛岡晋吾、役重善洋(パレスチナの平和を考える会)、山口智之、山本純、
山本崇記(関西非正規等労働組合)、由良哲生(寿日雇労働者組合)、吉田幸恵、吉田信吾、
ヨシノユギ(大阪医科大GID医療過誤裁判原告)、渡邊太、
渡辺学、匿名(14名)

【団体(22)】
アイヌ・沖縄を考える会、アジェンダ・プロジェクト、ATT
AC関西、ATTAC京都、うさちゃん騎士団SC、釜ヶ崎医療
連絡会議、釜ヶ崎パトロールの会、関西単一労働組合、関西非
正規等労働組合(ユニオンぼちぼち)、関西フィリピン人権情
報アクションセンター、旧日本軍性奴隷問題の解決を求める全
国同時企画・京都、京都精華大学社会科学研究会、憲法を生か
す会・京都、社会運動研究会、高齢者特別就労組合準備会、「
心の教育」は、いらない!市民会議、寿日雇労働者組合、失業
と野宿を考える実行委員会、すべての外国人労働者とその家族
の人権を守る関西ネットワーク(RINK)、反戦と生活のた
めの表現解放行動、PeaceMedia、ペンギンの会(自立障害者グ
ループ)

『グローバリゼーションと植民地主義』(西川長夫編著)を読んでー朴鐘碩、日立の現場から

日立に勤務する朴鐘碩が春闘の現場から、西川長夫さんの編著を
読んだコメントをみなさんにお送りします。
西川さんの<新>植民地主義論が単なる机上の思想ではなく、
現実の矛盾、困難な状況を直視するのに重要な武器になっている
と思います。

崔 勝久

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「グローバリゼーションと植民地主義」西川長夫・高橋秀寿編 
人文書院 2009/03/30

(1)
この本は、西川長夫・高橋秀寿立命館大学教授を含め20名による世界的な「植民地を隠蔽し私たちに見えなくさせる大きな力」となっている「植民地主義」の歴史研究と「植民地なき新植民地主義」がもたらす矛盾・問題点を的確に指摘しています。私はこの現実とどのように向き合い切り開こうとしているのか、何ができるのか、また私はどう生きればいいのか、改めて問われたような気がします。

Ⅱ 国内植民地
「国境を越えた人種マイノリティ教育の移転-アメリカ合衆国の事例から」 宮下敬志
「アメリカ先住民のオジブワ族出身のデニス・バンクス(1937~)は、20世紀後半のアメリカインディアン運動(先住民による公民権運動)の活動家として有名である」
「バンクスは、青年期に受けた教育によってしだいに「非インディアン化」され、「従順なアメリカ人」として「飼い慣らされて」いったと回想している。とはいえ、その後の波乱の人生の中で、寄宿学校を含めた先住民に対する同化主義の傲慢さに気づいた彼は、運動家としての道を歩むことになる」

私は、日立製作所から採用を取り消されて、提訴したのは単純・素朴な「怒り」でした。「同化主義の傲慢さ」への怒りであったかも知れません。パラダイムの転換となった「日立闘争」を経験しましたが、「運動家としての道を歩む」ことなく、日立製作所で働くことになりました。

多国籍企業・日立で働く私は、この本を読みながら日立労組と会社の「2009年春闘」について考えました。約35,000人の組合員から組合費を毎月徴収している日立労組は、「「連合」「金属労協」「電機連合」の方針に従い、「個別賃金要求で4.500円、一時金年間5.0ヶ月とする」」ことが当初の目標でした。

ところが会社側は、ワークシェアリングを名目に月1日の休日増、管理職は5%、組合員は基本給3%減額という労働条件を提案し、日立労組幹部は組合員の声を聞くこともなく受け入れ、即妥結しました。

この事実が組合員に知らされたのは、春闘交渉が妥結した後でした。しかも妥結内容を説明したのは組合ではなく、職場の管理職を通じて結論のみが通達されたのです。組合員にとって全く寝耳に水でした。毎日、顔を合わせて共に仕事を進める上司から説明を受けた組合員は、視線をどこに向ければいいのか分からず、質問することもなく沈黙していました。

「日立製作所は、「基本と正道」の倫理を従業員に訴えておきながら、何故このような非人間的なやり方で労働条件を決めるのか?日立はそういう会社ですか?」という私の質問に、上司は、「質問されても回答できないから、会社に伝える」そうです。

「今更決定したことを文句言っても仕方がない。変わることもない。」という雰囲気が充満し、言われるままに、組合員は沈黙するしかありません。言うまでもなく、組合費で生活する組合役員の給与に関しては、一切触れることはありません。組合員だけでなくこのようなやり方に「怒り」を抑えきれない管理職もいたようです。

派遣、非正規、外国人労働者が一方的に解雇される中で、経営者責任を明確にせず、(世界)不況を正当化して(正規)労働者の自己責任を問い、労働条件を悪化させることこそ、「植民地主義経営」であり、「近代・文明化」技術の裏に必ず大きな陥穽があると、この本を読んで思いました。 「植民地主義経営」・多国籍企業の「偽装技術的躍進」は、人間の「文明化」をもたらしたのでしょうか?技術進歩という企業の「社会貢献」は「人間を解放する」と勘違いしたこともあり、「自分が植民地化されていることを認識するのはさらに難しい」のです。

以下、西川長夫さんの文章引用。

「いまなぜ植民地主義が問われるのか-植民地主義を深めるために」 西川長夫
「植民地を隠蔽し私たちに見えなくさせる大きな力が働いている。そしてその力こそがまさに植民地主義ではないだろうか。いま私にようやく見えてきたことは、国家と資本と文明概念に支えられた長期にわたる近代という時代は、グロ-バリゼ-ションと一体のものであり、その輝かしい近代の裏面には暗黒の植民地と植民地主義がべったり張りついている」

「自国民に向けられた「文明化の使命」、それは自己植民地化にほかならない。そしてそのような教育をうけて形成された「国民」が植民地主義を免れることは難しく、自分が植民地化されていることを認識するのはさらに難しい。」

「グロ-バリゼ-ションという用語は一方で新しい植民地体制の本質を示すとともに、他方で植民地の本質を隠蔽している」

「植民地主義は国民国家の、あるいは資本と国家と国民(民族)によって推進される(あるいは阻止される)共同事業となった。植民地主義は(あるいは反植民地主義は)国益と愛国心の名において語られ、帝国主義とナショナリズムとのかかわりで論じられることになる」

「新自由主義とは結局は<新植民地主義>ではなかったか」

「グロ-バル・シティは世界に開かれており、越境的なネットワークの一環として位置づけられる。これに対して国内植民地主義は1国内における文化的民族的特異性をもつ周辺地域(あるいはマイノリティ)が中央(あるいはマジョリティ)に対して植民地的状況に置かれていることに注目する。」

朴鐘碩
「外国人への差別を許すな・川崎連絡会議」HP掲示板より
http://homepage3.nifty.com/hrv/krk/index2.html

2009年6月3日水曜日

日本学術会議の「当然の法理」についてー朴鐘碩

日本学術会議の「当然の法理」についての朴鐘碩のコメントの紹介します。
「当然の法理」についてはこれまで、鄭香均の東京都との裁判闘争の例が
あり、私たちもこの10年以上、川崎市の「門戸の開放」が「当然の法理」
に基づいており、採用した外国人職員の昇進と職務に制限を加えている
差別制度だとして批判してきました。

しかし日本学術会議の会員は国家公務員の特別職であり、学会は
内閣の諮問機関であり、内閣に答申するので、それは外国人は
「公の意思形成」という「当然の法理」の原則に反するので会員には
ならせないという立場を明確にしています。

会員の間でも批判の声があるようで、「外国人会員」という仕組みを
事務局は検討しているようです。これは川崎市の戦争に行かない外国人
は「準会員」という、外国人を二級市民として受け入れるという発想と
同じです。

会員の資格について、事務局だけで決定するのか、会員もその議論に
加わり決定過程に参加するのか、日本学術会議の見識が問われます。
どうなるのか、見ものですね。

なお、13日。の「多文化共生」に関する講演は4人分の予約済み
です。ください。参加を希望jされる方は私にメールか電話をください。

崔 勝久(skchoi777@gmail.com)
携帯:090-4067-9352

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
日本学術会議の「当然の法理」について

「会員と提携会員は国家公務員特別職だということは説明しましたが、その説明をしたうえで、国籍に関しては法律ではなく、「日本学術会議は「内閣府におかれる特別の機関」」つまり、国の機関であるため、国籍の件に関しても、内閣法制局での見解に従っていると説明しています。即ち、「当然の法理」という内閣法制局の見解に従っている、ということでした。

「日本学術会議は、内閣府設置法第四十条第三項により、「内閣府におかれる特別の機関」というように定められているため、それを組織する会員及び連携会員は、国家公務員になります。
 国家公務員法の第三条では、日本学術会議会員は国家公務員特別職と定められており、連携会員は第三条には明記されていないため、第二条により国家公務員一般職になります。

 このように、日本学術会議は「内閣府におかれる特別の機関」つまり、国の機関であるため、国籍の件に関しても、内閣法制局での見解に従っているものです。

 ただし、外国人研究者の件に関しては、いろいろと意見が出ているところです。日本在住の外国人研究者にも学術会議の委員会等に参加していただくようにした方がよいという意見が会員の中からも出ているので、在日外国人研究者に外国人会員すなわち会友などという名称で学術会議の会議等に参加していただくことを検討するための委員会の開催の準備をしております」(http://anti-kyosei.blogspot.com/より引用)

日本学術会議主催公開講演会「グローバル化する世界における多文化主義:日本からの視点」
◆ 日時:平成21年6月13日(土)13時30分~17時30分
◆ 会場:日本学術会議 講堂
(1) ”多文化共生”の問題と課題:日本、西欧を視野に」
宮島 喬(連携会員、法政大学教授)
(2)「日本在住外国人にかんする法制度」
近藤 敦(名城大学教授)
(3)「日本における労働市場・労働力移動」
井口 泰(関西学院大学教授)
(4)「“多文化共生”社会における教育のありかた」
佐久間孝正(東京女子大学名誉教授)

採用した外国籍公務員に許認可権ある職務、決裁権ある管理職に就かせない(川崎市をはじめ全国の自治体の)根拠となっている「当然の法理」は、法律でもない単なる内閣法制局の見解にすぎません。
 
日本(最高)の知識人・文化人の組織おいても「当然の法理」が存在していることに驚きました。それでいて当事者である外国人を排除し、「共生」のあり方、問題点を研究・話し合う講演会を開催する、という学術会議の矛盾を私は感じます。

差別を合法化する「当然の法理」(排外主義思想)は、外国籍公務員の職務制限から学術分野に至るまで奥深く浸透しています。

「在日外国人研究者に外国人会員すなわち会友などという名称で学術会議の会議等に参加していただくことを検討するための委員会の開催の準備をしております」と、事務局は回答していますが、学問・芸術の世界において国籍が問題になるのでしょうか?

阿部孝夫川崎市長が「共生」を標榜する一方で「外国人は準会員(二級市民)」と差別発言した問題と共通していると思います。西川長夫さんが言っているように、「当然の法理」は、「植民地なき新植民地思想」でしょう。

朴鐘碩
「外国人への差別を許すな川崎連絡会議」HP掲示板より引用
http://homepage3.nifty.com/hrv/krk/index2.html

2009年6月1日月曜日

川崎市長選岡本候補の選対専従会議に出席

本日午後、中原民商で行われた、市長選岡本候補の選対専従会議に出席
しました。結論から報告すれば、まず私の提案は、3日の事務局会議と、
その後の最終的な代表者会議で検討されることになりました。

私の提案は以下のよっつですが、今日は、110億円の地下鉄建設基金
の取崩すことについて主に話し合いました。

1.地下鉄建設用の基金110億円を取り崩し、福祉・介護・教育などに使う
(ミニバス網の整備、保育園・老人ホームの建設、校舎の耐震用補修など)
2.国籍条項の撤廃
3.戦後60年の地方自治の在り方を見直し、住民主体の地方自治の仕組みをつくる
4.開かれた地域社会を求める施策を「スロー都市宣言」というスローガンで表現する

2と3に関しては問題がないようです。4は1次第でしょう。
1は、先方の評価が分かれました。

①私の意見にほぼ同意する(現状の選対で準備しているものでは
アピール力に欠けている)ー同意
②私の提案、考え方は理解するが、110億円は川崎の会計規模から
すると2%くらいにしかならず、敢えて地下鉄と結びつける必要は
あるのかー保留
③主体的な力の構築が重要で、敢えて人為的に阿部市政との違いを
強調する必要があるのかー反対

このままでは阿部陣営の圧倒的な攻勢に負ける、どうしても
勝つためには、善戦でよしとせず、阿部との対抗軸を明確にする
必要があるということを私は強調しました。後は結果を待ちます。

以上、報告まで

崔 勝久