2010年1月28日木曜日

外国人参政権提出見送りも(やっぱりね!)

外国人参政権提出見送りも(やっぱりね!)

朝日新聞は、28日の朝刊で、国民新党の反対で法案提出見送りかと伝えました。やっぱりね、という感じですね。

「国民新党の亀井静香代表が一貫して反対しているほか、民主党内にも根強い慎重論があり、首相の判断が注目されていた。」

北朝鮮排除、被選挙権なし、という法案内容に問題ありという指摘をしてきましたが、そもそも、外国人に参政権を与えてはいけないという、閉鎖的な国民国家論が「勝った」というところでしょうか。

2010年1月19日火曜日

外国人選挙権「賛成」6割 本社世論調査 30・40代は7割(朝日新聞 1月19日)

朝日新聞によると、「反対」意見は29%であったそうです。これは何を意味するのでしょうか。政府提案の外国人地方参政権法案が今国会で提案されると、国民レベルでは「賛成」するという意思表示であることは間違いありません。しかし亀井国民新党党首、自民党、及び民主の30%ほどが反対しているので、本当に政府提案法案に与党内の合意が可能なのか、これはまだ予断を許しません。

「在特会」や櫻井よしこたち、及び産経・読売などの必死の反対にも拘わらず、国民は、91万人の外国人(そのうち、韓国・朝鮮人・台湾人という旧植民地下にあって戦後も日本に住んで特別永住権取得者は42万人)が日本に住み、参政権をもつことに違和感を持っていないということになるでしょう。反対派の「違憲論」や、「危険論」があっても、その論理に多くの人は乗らなかったということになります。

問題は、7割もの「賛成」者が、北朝鮮排除と、被選挙権のないことを理解しているのかという点です。政府は、北朝鮮排除の理由を、国交がないからと説明していますが、その排除の理由の中に、拉致問題と核問題を理由にした「制裁」の意図が秘められていることは間違いありません。そして、多くの国民は、その北朝鮮排除に関して大きな問題と感じていないのでしょう。仮に北朝鮮支持者にも参政権を付与するとしたら、「賛成」者の比率が変わるのでしょうか?

憲法44条[議員及び選挙人資格]両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によって差別してはならない。仮に外国人登録証欄に「朝鮮」とある場合(必ずしも北朝鮮を支持していない人を含めて)、その人に参政権(今回は、選挙権)を与えないということは、憲法違反になります。この点を、外国人への地方参政権付与は違憲ではないという点と合わせて、政府は明確に説明すべきです。

私自身は、今回の参政権のことが、外国人へ付与することの是非が論議され、その権利の付与と日本の戦後責任、植民地支配の清算ということがどのように関わるのかという観点が全く欠如していることを疑問視しています。北朝鮮との国交がないということは、植民地支配の清算がなされていない状態であるということをどれだけの人が意識しているでしょうか。

「新しい川崎をつくる市民の会」のグループメールがあり、外国人の地方参政権の問題について議論をしたいと考えています。投稿を期待します。私のアドレスにお送りください。

2010年1月13日水曜日

外国人の地方参政権の基礎知識(1)

何冊かの参政権に関する本と、論文を読みましたが、私は近藤敦の『Q&A外国人参政権問題の基礎知識』が一番簡潔に書かれていると思います。ただ気をつけなければいけないのは、この本の出版時には法案は北朝鮮の排除は明記されていなかったのですが、今回の法案には、国交のない国を対象にしないという口実で、韓国籍以外の「在日」は適用外にしています。近藤さんは以下のように説明されています。

>執筆時に念頭に置いた2000年の法案では、排除要件がなかったように思います。
>http://www.dpj.or.jp/news/?num=10952
> http://www.dpj.or.jp/news/?num=10950
> もちろん、現在、検討されている法案には、排除要件があることは、近年の報道の通り
>だと思います。

気をつけて見てみると、明石書店から参政権に関する本が多いですね。改めて会社の姿勢を評価すべきだと思いました。この本を購入されるのが一番いいのですが、本の内容を抜粋してみなさんに「基礎知識」をお知らせします。

(1) 最高裁は、永住外国人の地方参政権を認めているのですか?
参政権に反対するHPは随分と多く、「在特会」を始め、「外国人参政権に反対する会・公式サイト」(http://www.geocities.jp/sanseiken_hantai/)があり、それだけを読めば、憲法論の展開があり、気をつけないと妙な説得力があります。近藤さんの本としっかりと読み比べ自分で考えることをしないと相手の国民国家論、ナショナリズムに巻き込まれます。だから「在特会」が怖いのは、多くの人にとっては、あんな極端な右翼は嫌いと言うでしょうが、彼らの憲法論を展開しながらの国を憂う国民国家論は恐らくストンの心に沁みる可能性があるのです。

ここでまず近藤さんは、第一のこの質問から説き始めます。
反対論者は、最高裁の判決で外国人の参政権にふれた部分は傍論で、本論では参政権を否定していると言います。1995年の最高裁判決は、本論において、「我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない」とあり、傍論では補足で、永住権者等に、「法律を持って、地方公共団体の長、その議会の議員等に対する選挙権を付与する措置を講じることは、憲法上禁止されているものではないと解するのが相当である。しかしながら、右のような措置を講ずるか否かは、専ら国の立法政策にかかわる事柄であって、このような措置を講じないからといって違憲の問題を生じるものではない」と記しています(最判1995年2月28日民集49巻2号164頁)。

憲法解釈には、「要請」「許容」「禁止」の3通りがあるのですが、「禁止」は文字通り憲法が禁じているということ、「要請」は憲法が要請している、即ち認めているということであり、「許容」はそのどちらでも違憲ではないということになるのです。この「許容」説を今回の問題に則して言えば、永住者に参政権を認めても認めなくとも、そのどちらも違憲ではないということになります。それは国会が立法政策の判断をすればよく、そのどちらの判断でも合憲である、ということなのです。

鄭香均の東京都を訴えた最高裁判決では、東京都が国籍を理由に外国人を管理職試験を受けさせなかったことは違法ではない(=他の自治体が受けさせる判断をしてもそれはそれで違法ではないということでもあるのですが)ということになりましたが、その傍論では彼女の主張に一定の評価をする意見もあります。しかしそれは判決とは関わりがないと言われます。しかしこの参政権の場合、訴えた個人の権利を否認する結論を出しながら、傍論においては立法改革の必要性、可能性を国会に示す判決は、他の制度改革を目的とした訴訟では例があるそうです。だから一概に傍論だから、拘束力をもたないというような乱暴な主張ではないということでしょう(1992年の台湾住民元日本兵戦死者の損失補償請求事件など)。

参政権反対論者は、最高裁判決の本文で、「付与することは許されない」とあるので、憲法上、外国人への参政権は禁止されていると誤読しているのです。これは「許容」説という憲法学説からすれば矛盾した判決ではなく、むしろこれまでの消極的な判決からすれば、まあよくやったというのが近藤さんの意見です。私もそう思います。だから、今回の政府案としてだされる外国人の地方参政権法案は、傍論に乗っかっているといって、決して違憲ではなく、憲法上の解釈においても問題があるということではないのです。

2010年1月12日火曜日

川崎の臨海部は地震に弱かった!

「防災拠点に穴」「地震に弱い隣接地」「液状化 危険物流出の恐れ」(毎日1/12)

川崎の東扇島地区の防災拠点は、実際の地震(川崎市直の深さ約30キロ付近でマグニチュード6.9の地震)が発生した場合、08年4月に完成したが、国が70億円をかけて整備したにも拘わらず、機能しない可能性があることが、早稲田大学の浜田政則教授(地震工学)の調査でわかったそうである。詳しいことは下記の毎日新聞の記事を参照ください。

東京湾は江戸時代から埋めたてが始まり、64年以前は液状化対策がなされていないため、地震には弱いそうである。湾岸にある約600基もある石油タンクの1割から危険物が流出する可能性があるとのこと。しかし国土交通省は、「コンブナートの耐震化などの安全対策は民間企業の責任。(その被災によって)船が運航できないという想定はしていない」という。

川崎区選出の佐野市議は、そもそも川崎の地震に備えた対策はどのようになっているのか、現状はいかに危険なのか、浜田教授をお呼びして学習会をもちたいと考えられているそうです。学習会の企画が具体化したら、是非、私たちも参加し、川崎のコンビナート地区がいかに危険か、学習したいと思います。

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
基幹的広域防災拠点:地震に弱い隣接地…東京湾岸の東扇島

東扇島地区基幹的広域防災拠点の場所
 

首都圏の震災に備えて国が東京湾岸に整備した「東扇島地区基幹的広域防災拠点」(川崎市、約15.8ヘクタール)が、非常時に利用できない恐れのあることが、早稲田大の浜田政則教授(地震工学)の調査で分かった。周囲には防災対策が不十分な古い埋め立て地が多く、そこが被災して備蓄中の石油がもれるなどすれば、救援物資を載せた輸送船が近づけないという。【石塚孝志】

 拠点は国が約70億円かけて整備し、08年4月に完成した。普段は公園として開放、災害時には、国内外から船で運ばれる物資を荷揚げして被災地や避難所に運ぶ輸送中継基地として機能する。ヘリポートや耐震強化岸壁などを備えた国内初の基幹的広域防災拠点だ。

 浜田教授は、国の中央防災会議が被害予測に使った「川崎市直下の深さ約30キロ付近でマグニチュード(M)6.9の地震が発生」を想定し、防災拠点一帯の地盤変化を分析した。その結果、防災拠点以外の埋め立て地で護岸が最大7メートル海側に動き、大型の危険物タンクが被災する可能性の高いことが分かった。

 95年の阪神大震災では、神戸市の埋め立て地で護岸が約4メートル動き、液化石油ガス(LPG)タンクの配管からLPGが大量にもれた。東京湾は江戸時代から埋め立てが始まり、防災拠点周辺の埋め立て地は新潟地震(1964年)以前に完成したものが多い。64年以前は液状化対策がなされていないため、地震に特に弱い。

 さらに、近畿から東海地方にかけて東南海地震と東海地震が同時発生(M8級)した場合の影響を調べたところ、湾岸にある浮き屋根式の石油タンク約600基のうち、約1割の64基から危険物が流出する可能性のあることも分かった。湾岸地域の地下には軟弱な堆積(たいせき)層があり、地震波の長周期成分が揺れを増幅させると考えられる。

 国土交通省は「コンビナートの耐震化などの安全対策は民間企業の責任。(その被災によって)船が運航できないという想定はしていない」という。浜田教授は「危険物が流出すると東京湾全体に広がり、海上火災の恐れがあるうえ回収に最大数カ月かかる。このような危険の検討は、残念ながら十分されていない」と話す。

 ◇基幹的広域防災拠点
 都道府県単位では対応できない大災害が発生した際、国による復旧活動の中核となる。首都圏では、東扇島地区が支援物資の中継基地となるほか、「有明の丘」地区(東京都江東区)に現地対策本部が置かれる。

「外国人選挙権法案 提出へ」(朝日1・12)

かねて小沢幹事長が内外で公言していたように、政府案として、外国人選挙法案が提出されることが決定したそうです。公明と共産党は賛成ですが、国民新党、みんなの党は反対、自民も大多数は反対、民主の中でも30%くらいは反対しているようです。

この選挙法案の特徴は、対象を永住権者に限定し、なお「我が国と外交関係のある国の国籍を有する者や、これに準ずる地域を出身地とするものに限定する」ということで、北朝鮮は国交がないので、外国人登録証の「国籍等」とある箇所に「朝鮮」と記されている人は対象外にするということです。「朝鮮」は国籍ではなく、北朝鮮を支持している人とは言えません。外交関係がなくとも、「台湾」は「準ずる地域」で対象にするのでしょう。

これはフェアーではありません。拉致問題や核実験の件で、北朝鮮を「敵対」した、「制裁」の対応と私は見ます。しかし本来は、植民地支配の清算という観点から論じられるべきで、北朝鮮の海外公民で日本の政治には関与しないと公言して選挙権に反対していても(内政干渉しないことを前提にしながら、この件では反対すると「内政干渉」することは矛盾しているように思えますが)、だからといって参政権の対象から「国交がない」という理由で排除することは間違いです。

また、「参政権」のうち、選挙権は認め、「被選挙権」がないことも問題だと思います。民主党内、国民新党が、この件で党を出るか、与党から外れるかと民主党首脳部が出た場合、どうなるでしょうか。恐らく、割ってでることはないと思います。徹底した反対の姿勢を示しながら、どこかで妥協をするのではないでしょうか。あるいは、この件がきっかけで、政界の大編成がはじまるのでしょうか?

この10年、公明党を中心にして外国人の参政権法案が出されてきましたが、民主党が政権をとることでようやく実現するところまで来たことは事実です。しかし、この「参政権」には反対するグループも多いようです。私は今、「参政権」に関する原稿を書いているので、いろんな関係する本を読み漁っているのですが、まさにいろんな論者が多いことに今更ながら驚いています。

妥協の産物として、この程度の内容の法案が出てきたのだと思うのですが、私としてはこれはあくまでも外国人への権利「付与」であって、日本社会のあるべき方向が論議されているとは思えません。植民地支配の清算という位置付けは全くされていませんし、住民不在の地方自治の問題点がさらに拡大されるだけになることを危惧します。

2010年1月9日土曜日

社会統合は全てに優先するのか

「移民と築く街の将来」「様々な人・文化流入」(朝日1・9)
今日の朝日新聞の一面で新宿、大久保の韓国系教会と韓国コミュニティの動きを取り上げています。川崎の桜本での「在日」が商店を構えるものの、まちづくりになかなか参加できていない現状を考えてみると、大久保の実践は検討に値すると思えます。

しかし大久保の場合はJR駅に近く、街全体が発展しており、桜本の場合は、臨海部の全体的な沈滞(コンビナート地域からの工場の撤退、労働者の激減等)の影響を受けていると思われます。外国人の関与によって街の活性化が図れるというより、街の活性化によって、桜本に多く住む外国人のまちへの関与の仕方が変わるようなことを考えるべきだと思うのですが、いかがでしょうか。

3面の三分の二のスペースを使いながら、1面の続きがあります。
「迫られる新たな開国」「社会の厚生員多様化」
内容は、高槻市の李敬宰をとりあげながら、本名で帰化した「在日」を紹介し、元東京入管管理局長を勤めた坂中英徳は「国づくり」の視点から、外国人の受け入れを話しています。彼は、日本籍をとらない外国人はわきまえるように警告を発した人物です。

「国籍と民族的なアイデンティティーは必ずしも一致しない。「日本人」をひとくくりできる時代は過ぎた。」というのが朝日の趣旨のようです。朝日新聞の基本的な主張と読みました。「国籍とアイデンティティーの不一致」を取り上げ日本国籍の取得を主張する鄭大均の影響は大きいですね。参政権には反対で、帰化を簡単にする対案がだされています。

地方参政権であれ、外国人の参加によって日本の安全保障が脅かされると主張する人が多いのですが、そこで共産国の中国、北朝鮮への反発が表明されています(櫻井よしこの国家基本問題研究所:http://jinf.jp/)。しかし他国の利益のために暗躍する「スパイ」などというのは、アメリカ、イギリスなどどこにおいてもその国の国籍をもった人がやることですよ。櫻井たちは、帰化や永住権取得者に国家への忠誠を誓わせるセレモニーの必要性を唱えます。

朝日と櫻井たちが基本的に同じと私が見るのは、国家の統合ということを大前提にしている点です。朝日の3面の「移民政策 逃げず論議を」(中央大学兼任講師の宣元錫)記事に注目しました。外国人を受け入れてきた韓国の政策と日本との違いが述べられており、検討に値します。しかし私は、「社会統合」と「共生」を強引に進める韓国の政策を額面通り受け取ることは危険だと思います。

2010年1月8日金曜日

外国人参政権に14県議会「反対」(朝日新聞1・8)


何か、嫌な情報が年初から続きますね。

14県のうち、半分の7県は以前は「賛成」していたそうです。 「かつて賛成していたのは、法制化が現実的でなかったから。 賛成を要望した人の顔を立てておけと安易に考えていた」と ふざけた発言する人がいますね。

後は、「統一地方選挙は小差で当落が分かれることが多く、 法制化で外国人の・・・影響を懸念する」との声も。

小沢幹事長が国内だけでなく、韓国でも明言した、この春の 通常国会で政府提出になる外国人参政権の法制化法案は、 どうなるのでしょうか。

国論が分かれても、民主党内の三分の一が法制化に反対する といわれている現実の力関係の中で、果たして法案は通るの でしょうか。

私は「参政権」は被選挙権がない、北朝鮮を排除している、 中途半端なものだという意味で積極的には賛成していません。 植民地支配のあいまいな処理、外国人の人権、政治参加の 保証に関しての議論がないところで、外国人に「選挙権」だけを 与えるということにもろ手をあげて賛成することはできません。

しかし、「参政権に反対」には反対です。「在特会」が喜ぶような 動きになってきていることを強く危惧します。

--
崔 勝久
SK Choi

2010年1月7日木曜日

なんか嫌な報告です

なんか、嫌な感じの報告です。

「在日特権を許さない市民の会」(「在特会」)が1月24日、新宿で「外国人参政権反対」の「国民大会&大行進」を計画しているそうです。
http://www.youtube.com/watch?v=cT4x4SwTRs0

彼らがヨーロッパの極右団体のように、日本人社会で大きな運動になるとは思いませんが、日本ナショナリズムを鼓舞し、外国人排斥を訴える運動は、多くの日本人の無意識のナショナリズムを自覚化させ、全体として、日本人国民のナショナル・アイデンティティを相対化するよりは、それを当然視する方向に寄与することが危惧されます。

彼らは、行政や市民運動が計画する「従軍慰安婦」や「南京」問題を考える企画があれば抗議に行き、騒動を恐れる行政や市民運動体に企画の撤廃をさせる運動パターンを得意としています。

さて川崎ではどのようになるでしょうか? これは「参政権」論議が高まる中で、外国籍公務員の「国籍条項」のひずみを考え直したいと考える人事課の思惑を超えて、「在特会」は、「参政権」反対と合わせて、「国籍条項」撤廃をなくせと大々的な抗議運動をするでしょう。それでも国際都市・川崎の将来を考えて一線突破する勇気が市当局にあるのでしょうか。

2010年1月6日水曜日

新しい出発にあたって

昨年の10月15日、阿部三選阻止集会に参加して下さった皆様および、私たちの住民自治を内実化する活動を見守りご協力、ご助言をしてくださった皆様へ

みなさん、新年明けましておめでとうございます。

昨年は皆様方の温かい激励によって、ささやかですが、自分たちの想いを実践につなげる活動をしてまいりました。

残念ながら、市長選の結果は阿部現市長の当選という結果に終わりました。しかし、阿部市長に反対する票を投じた人は25万人、阿部市長支持者は15万人、そういう意味では、阿部三選阻止を目指した私たちの運動は一定の成果を上げたと言えるでしょう。問題はこれからです。川崎の市政に私たち市民がどのように関わるのか、私たちがなすべきことは何なのか、私たちとしてはじっくりと学習と実践を重ねて、4年後に備えて具体的な政策を提示していきたいと考えています。

10・15集会を踏まえて作られた「新しい川崎をつくる市民の会」のMLを作成中です。皆様をグーグルグループにご招待いたします。メンバーとしてMLにメールアドレスを載せることに承諾してくださる方はご返事をいただければ幸いです。「市民の会」事務局で話し合った内容、学習会の案内などをMLでお送りいたします。


(1)候補者のドタキャンから見えてきたこと
2009年10月15日、告示後、すべての候補者が公になった段階で、ストップ・ザ・阿部三選集会を企画し、阿部市長を除いたすべての候補者を招き、候補者同士の討論、市民からの質問を保証する場にしたいと考えました。それまでは阿部候補をはじめ、各党内の事情で候補者が決められ、その決定過程では市民不在でした。マスコミの報道の仕方を含めて、候補者のマニフェストを検証する場はありませんでした。候補者同士の真剣な討論は一切なく、市長選に際して、市民の知る権利は損なわれていると私たちは考えていました。

しかしながら集会出席を約束していたすべての候補者は、まさに集会当日になって、まるで申し合わせをしたかのようにキャンセルをしてきました。そのうえ、候補者陣営からは誰一人、集会場にキャンセルの事情を説明に来る人はいませんでした。時間が合わないという言い訳は論外にして、公示後、選挙に関する集会に候補者が参加することは公職選挙法に違反する、或いはそのように選管(警察)から判断される恐れがあるというが主な理由でした。

私たちは選管は勿論、選挙違反を取り締まる警察にもその点を確認しましたが、現行法では、一定の候補者の落選を目指し、特定の候補者を応援したり、集会で選挙運動をするのでないならば、問題はないという判断でした。公職選挙法は、特定の候補者の応援にあたっての選挙運動違反を取り締まるための法律なのです。市民の知る権利に応えて、市長候補者が堂々と自分の意見を述べ討論する集会を警察は取り締まることなどできません。

公職選挙法の解釈と、市民の知る権利について、告示後に集会をもつことの是非を各党派の立候補者陣営と私たちの間で討議・検証する時間的な余裕は十分にありました。しかし市民運動陣営でさえ、公職選挙法について十分な知識を持たず、集会参加を「自粛」していたことは、今後の市長選の在り方に大きな課題を残すことになりました。

市民の知る権利を全面的に前に掲げて、徹底して各候補者のマニュフェストを検証し、たとえ公示後であっても(そもそも候補者が確定するのは公示であるのに)、市民の前で各候補者間の議論をさせるべきです。4年後は、マスコミにも協力を求め、市民が中心となった集会をもちたいと願います。

(2)それでも集会に参加してくれた人たちの発言から
しかしながら集会当日、なんと70名もの人たちが、候補者のドタキャンにも拘わらず集会に参加し、ドタキャンに関する主催者の見解をめぐって話し合いをしました。参加者からは、各自の実践を踏まえて、これは市民が中心となった新しい運動の出発であるという発言が相次ぎました。

集会の準備をした事務局としては、集会参加者の発言に勇気を得て、またそれらを次になすべきことについての助言と受け取りました。時間をかけて事務局で検討した結果、「新しい川崎をつくる市民の会」を立ち上げることを決定しました。事務局は日本基督教団川崎教会に置き、代表は教会牧師の滝澤貢、事務局長は崔勝久で、現在は今後の会の理念、活動方針を明確にする準備にとりかかっています。

(3)「新しい川崎をつくる市民の会」の理念について(草案)
●「住民が生き延びる地域社会」実現を目指して
「住民が生き延びる」地域社会(Sustainable Community)とは、
「平和と民主主義を希求し、国籍に拘わらず全ての住民の自由、平等、基本的人権を保証し、絶対的貧困を除去すると同時に、環境・資源・生物多様性の維持・保全を根底に据えた、住民が主体となった住民自治を志向する地域社会」と定義します。

●川崎では本格的に工業立地が開始されて2010年で100年になり(「韓国併合」の年)、その間国が求める富国強兵政策や戦後の重化学工業政策に沿ってまちづくりがなされた結果、道路政策の過ちと相まって「公害」問題が発生し、現在「環境再生」という大きな課題に直面しています。エコ社会の実現という阿部市長の謳う政策で本当に数十年先、現在のモンスターのようなコンビナート地帯から市民に憩いの海が戻るのでしょうか。都市計画によって川崎北部もまた東京、横浜への住宅供給地となってきていますが、現在のようなまちづくり政策で、「住民が生き延びる地域社会」になるでしょうか。

「市民の会」は、21世紀のあるべき川崎市及び地域社会はどのようなものなのか、市民(住民)の立場から、特に社会の弱者の立ち場に立って、行政や企業に対して対話を求めながら具体的な政策を提示し、その実現に向けて活動すると共に、インターネットを介して広く情報発信します。

●「市民の会」の上記理念に賛同する人は、国籍、性、職業、宗教、思想、居住地(川崎市以外を含めて)に拘わらず、会員として、会の催す学習会、講演会に参加し、自由に会の討論に参加することができます。

●会員に対してはすべての情報は公開を原則にします。会員は社会的地位や職業に関係なく、すべて平等・対等で、民族・宗教・政治的理念は関係なしとします。

(4)事務局で検討されている内容
「市民の会」は、市民主権の地方自治体実現へ向け、主権者不在の実態(政治風土)を打破すること、住民自治の内実を形成して行くことを目標に、運動を発展的に継続したいと考えています。    
当面は、上記(3)の他に以下のことを話し合っています。

A:歴史教科書の問題。 横浜市の採択からいずれ全国に波及するであろうこの問題を、教科書の内容もさることながら、「自由社」の教科書の採択を決定した教育委員会とそのメンバーを決定した首長、及びその決定を承諾した議会の在り方を、横浜市の例を参考にして、注視する。

   B:住民自治の内実をどう形成して行くか。地方自治のあり方として、人口20万人くらいの区を単位にした行政システムを、地方分権の政治日程が俎上に上って来る前に事前に学習会やシンポジュームを重ねて備える。

   C:地下鉄、南校跡地、外国人差別、福祉・介護など、全市的に個別に地域の課題を担い運動を進めている個人及びグループとの提携を図る。
   
D:その他
臨海部に川崎の歴史的な産業政策の矛盾が集約していると判断し、地震が起った場合の大災害の可能性や、現在に 至るも続く「公害」問題を「環境再生」のチャンスととらえて、「住民が生き延びる地域社会」実現を目指す。そのための学習会を計画し、ひろく住民、研究者に呼びかける。

(5)ホームページの作成
「新しい川崎をつくる市民の会」としては、今年度、新たにホームページを作成し、各現場で地域活動を展開されている個人やグループの実践やメッセージを紹介するとともに、いくつかの研究課題を設定し、多くの研究者からの寄稿もお願いしたいと考えています。皆様の参加を心から歓迎いたします。


                                       2010年1月1日

新しい川崎をつくる市民の会
代表       滝澤 貢
事務局長     崔 勝久


〒212-0023
川崎市川崎区小川町11-13
日本基督教団川崎教会付
電話:044-599-2829
Fax: 044-599-0609
Googlegroups:shimin@googlegroups.com

2010年1月4日月曜日

年賀状

年賀状です。
http://www.viscosquare.jp/community/greeting/5265682956850230620091231/gc_View.do

皆さんにとりましてもよき1年でありますように。

--

崔 勝久
SK Choi