2008年2月12日火曜日

参画室への打診

皆さんへ

お変わりありませんか。
私は、今年の正月から椎間板ヘルニアで動くことができず、まる1ヶ月、
ほぼ寝て過ごしました。ようやくこのところ歩けるようになり、そろそろ
本格的に動き出しました! その第一弾。

思うところがあり、川崎市民局男女・人権参画室に電話をいれました。
行政と市民とで、川崎市の外国人施策に関して、現状の問題点を探り、
中長期的な具体案を考える学習会を計画しないかという打診です。

日本国憲法の戦争放棄は、日本国として守っていかなければならない
テーゼですが、川崎市にとって、「公権力の行使」の川崎市の独自の
解釈は、一時的なものでずっと守っていくべきものではないはずです。
そうだとすれば、外国人施策に関心をもつ個人・市民団体を網羅し、
行政と一緒に考えていくことが必要ではないかと強調しました。当事者が
一緒に考えていかないと、いくら行政がよかれと思ったとしても
パターナリズムに終わります。この点を詳しく、訴えました。

民主党党首の発言によって、外国人の地方参政権の実現も可能性が
でてきました。そうすると、応募者が当初の十分の一に落ち込んでいる
外国人市民代表者会議はどうなるのか、根本的にそのあり方を捉え直す
必要があるのではないか、もっと外国人市民代表者会議の「代表」の
選び方、その権限を根底から捉え直す必要があるのではないか・・・

また参画室によると、今回、韓国籍公務員の4回目のケースワーカー
異動依頼について、川崎市は最終的に拒否したとのことでした。しかし
川崎市の「公権力の行使」の独自の解釈で、ケースワーカーを希望する
外国籍公務員を拒む論理、その思想の是非について、もっと根本的に
検討する必要があると思われます。「市民の自由と権限の制限」という
解釈が、ケースワーカーにも本当にあてはまるのでしょうか。

地方分権という流れの中で、どのような状況になれば「人事」の独立は
可能になるのでしょうか。その時にはどのような論理・思想で「当然の法理」
の限界を打ち破るのでしょうか。国の決定を待つのでなく、足下から、市民が
考えていく、そこに行政も一緒に参加し、協議していく、こんなことを夢見たの
です。

「連絡会議」は過激で、10年も市を批判し続けているので一緒にできないと
いうのであれば、どのような形であっても、市が乗れる形態を考えましょう・・・

一応、課長への打診があったことは、部長にも報告してほしいと伝えましたが、
さて、どうなることになりますか。

私の活動第一弾でした。

崔 勝久
SK Choi
Skchoi7@aol.com
090-4067-9352

2008年1月23日水曜日

明けましておめでとうございます

みなさん

明けましておめでとうございます。
昨年の、7・15「共生」を考える研究集会での上野千鶴子さんの基調報告、
加藤千香子さん、伊藤晃さん、朴鐘碩3人のコメント、質疑応答を文字化
したものに、「在日」当事者の論文を加え、出版する計画です。
出版社はまだ未定ですが、夏前には実現させたいと考えていますので、
その節はよろしくお願いします。

ネオ・リベラリズムの時代において「多文化共生」が強調されているのは
何故なのか、このことを問題意識の一つとしながら、川崎を事例として、
展開しています。朴鐘碩は、日立入社40年の経験から見えてきたことを
記しています。

「共生」が無条件で賛美される風潮の中で、「共生」の実態を検証し、
この10年、川崎市との交渉から知るようになってきた実態が意味する
ことは何なのか、世界史的にどのような問題として考えればいいのか
という問題意識です。単なる、川崎市批判で終わってはいません。

「在日」当事者の意見としては、民族主義イデオロギーを克服していく
視点で、日立闘争を総括しました。「共生」を乗り越える視点は
どのように獲得できるのか、それは現実の問題を直視し、その克服を
追い続けるしかありません。

この数ヶ月、原稿に追われブログの方は疎かになっているのですが、
もう少しブログに戻るには時間がかかりそうです。
それではみなさん、今年もいい年でありますように!


崔 勝久
SK Choi
Skchoi7@aol.com
090-4067-9352

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上野千鶴子さんから以下のメールがありました。
ご協力お願いします。以下の内容は、川崎においても同じことが
ありました。戦争批判の映画上映を一旦、市が許可・決定しながら
右翼の反対があったので、治安上、中止にするというのです。川崎では
残念ながら、十分な抗議ができずに終わりました。
以下の闘いには協力したいと思います。

崔 勝久

抗議の署名をお願いします。
>>
>> 抗議文
>> つくばみらい市における平川和子さんの講演会直前中止に抗議し、
>> 改めて実施を求めます
>>
>>   1/20につくばみらい市主催で予定されていた平川和子さん(東京フェ
>> ミニストセラピーセンター所長)の「ドメスティックバイオレンス(D
>> V)」をテーマにした男女共同参画講演会(タイトル「自分さえガマンす
>> ればいいの?―DV被害実態の理解と支援の実際」)が、直前の1/16に
>> なって、市によって中止を決定されていたことが、毎日新聞ほか(注1)
>> で報道されました。報道によれば、1/16にDV防止法に反対する民間団体
>> が、市役所前で「数人が拡声器を使って抗議する騒ぎ」を起こしたため、
>> 市の担当者が「混乱を招く」(毎日新聞1/18)「市民に危険が及ぶ恐れが
>> ある」(産経新聞1/17)と中止を決定したものです。抗議した団体の代表
>> (男性)は、「市長直訴の抗議により、中止が正式に決定された」、「少
>> 数が巨大な行政を圧倒・屈服させた」と発言されたと伝えられています
>> (注2)。
>>
>>  講師予定者の平川さんが直ちに市長宛に送った抗議文によれば、市側の
>> 説明では「西村と名乗る男性と他に数名の女性が、役所内に拡声器を持っ
>> て押しかけ、職員に対する誹謗中傷などを大声でまくしたて、講演会の中
>> 止を求めて詰めより、そのうえ講演会の当日には街宣活動を行うとの予告
>> をしたため、講演会の参加者に危険が及ぶ恐れがあるとの判断のもと、や
>> むなく中止した」とあります。平川さんはこれを「講演会主催者と私に対
>> する暴力であり、参加市民に対する暴力」にほかならないと認識してお
>> り、私たちも彼女の認識に全面的に同意します。
>>
>>   改正DV防止法(2007年制定本年1月11日施行)によれば「主務大臣(法
>> 務大臣と厚生労働大臣)は都道府県又は市町村に対し、都道府県基本計画
>> 又は市町村基本計画の作成のために必要な助言その他の援助を行うように
>> 努めなければならない」(第2条の3、5項)とされています。改正前に
>> すでに茨城県が策定したDV対策基本計画の関係文書によれば、「県民一人
>> ひとりが「DVは許さない」といった認識を強く持っていただくことが、何
>> よりも大切なことです。このため、県では、今後とも学校や家庭、地域、
>> 職場などにおいて、人権意識を高める教育や男女平等の理念に基づく教育
>> を促進していきます」とあります。つくばみらい市が計画していた講演会
>> は、まさに県が推進している「地域における人権意識を高める教育」その
>> ものといえます。そのような事業が少数の暴力によって妨害されること
>> を、見過ごすわけにはいきません。
>>
>>   中止の報道に接してわたしたちは大きな衝撃を受け、あってはならな
>> いことが起きたとふかく憂慮しています。市の行事が少数の人々の暴力的
>> な行動によってくつがえされたことそのものが問題であるだけでなく、DV
>> という暴力に対する人権を守るための事業が、少数の人々の暴力によって
>> 実施不可能になるとすれば、DV被害者および支援者を暴力から守るべき責
>> 務を負う、自治体の姿勢に対する信頼もゆらがざるをえません。このよう
>> な暴挙がまかりとおるなら、今後他の自治体においても、DV関連の事業が
>> いちじるしい不安にさらされるだけでなく、講演や学習会等の啓発事業に
>> ついても「混乱をおそれて」自主規制する自治体が続出しないともかぎり
>> ません。
>>
>>  このような暴力に対して、市がとるべき態度は、きぜんとしてこれを退
>> け、安全を確保したうえで、予定通り事業を実施すること以外にありませ
>> ん。市当局が、暴力に屈して出した今回の中止決定をすみやかに取り消
>> し、あらためて日程を調整して、平川さんの講演会を実施することを、わ
>> たしたちは心から求めます。また平川さんおよび関係者の身辺の安全に配
>> 慮することをも要望いたします。
>>
>> (注1)「DV防止法:反対団体の抗議で講演会中止 つくばみらい市」
>> @毎日新聞(1/18)
>> http://mainichi.jp/select/today/news/20080118k0000e040081000c.html
>> 「抗議受け市の講演会中止に DV被害支援めぐり」@MSN産経(1/17)
>> http://sankei.jp.msn.com/affairs/crime/080117/crm0801171225014-n1.htm
>> 「DV防止法講演会 団体抗議で中止に つくばみらい」@東京新聞茨城
>> 版(1/18)
>> http://www.tokyo-np.co.jp/article/ibaraki/20080118/
>> CK2008011802080348.html
>> (注2)http://seaside-office.at.webry.info/200801/article_15.html
>>
>> 呼びかけ人(敬称略・50音順・08.01.21現在);
>> 青山薫・赤石千衣子・麻鳥澄江・有村順子・石田邦子・市場恵子・伊田広
>> 行・伊藤公雄・稲邑恭子・井上輝子・上野千鶴子・小川真知子・戒能民
>> 江・木村涼子・熊田一雄・黒岩秩子・小島妙子・今大地はるみ・坂上香・
>> 早苗麻子・佐藤明子・さとうももよ・出納いずみ・鈴木隆文・鈴木ふみ・
>> 土橋博子・角田由紀子・寺町知正・寺町みどり・内藤和美・中原道子・中
>> 村彰・西野瑠美子・丹羽雅代・沼崎一郎・橋本育・長谷川京子・姫岡とし
>> 子・弘田しずえ・福沢恵子・フックス真理子・船橋邦子・細谷実・堀田哲
>> 一郎・皆川満寿美・三井富美代・米田佐代子
>>
>> 署名フォームへのリンクページ(ダイレクトリンク)
>> http://www.againstgfb.com/tsukubamirai_shomei.html
>>
>> 第1次〆切り 1/28

2007年12月14日金曜日

『北朝鮮へのエクソダス』を読んで

今日は、
皆さんお変わりございませんか。

昨日はオンブズマンの会報発行・発送、今日は眼科受診となんとなくあわただしい日々でしたが、そのような中で、テッサ・モーリスース「北朝鮮へのエクソダス」を読みきりました。

1959年はわたしが結婚した年で、翌年は60年安保で日本が大揺れを起した年です。

一般的日本人の多くが在日の存在に全く関心を持っていない時代でした。またわたし自身の同様でした。

この本を読み終えて、手元にある「朝日新聞90年」をひらいて、集団帰国の記事をさがしましたが、殆ど見つかりません、ただ60年(昭和35年)3月28日の夕刊第一面の「大村の第一陣乗船、送還の韓国人三百四十四人・日韓相互送還により」という記事が」ありました。これは北朝鮮への送還ではないでしょう。

テッサ・モーリスースズキという人があの「無境界家族」を書いた森巣博の妻であることを思うと、この家族の国籍を超えた結びつきに一入の感慨を催します。

それに日本人が彼女の研究を踏襲し、より広範囲な対象との関連で、この事業の持つ意味と状況を深く掘り下げる研究がなされないだろうかという、期待を抱かされました。

人権ということを考えるとき、自分を含め、日本人には人権意識が無いと痛感します。

「当然の法理」の必要性はこのような日本の状況下で、政治的に導きだされた、政権の考え方だと痛感します。外務省・日赤の主要幹部が抱く、政治倫理(ナショナリスチック)な考え方が赤裸々に描きだされています。

皆様へ
             07・12・14     望月

2007年12月9日日曜日

「当然の法理」へ挑戦ー民団新聞

「当然の法理」へ挑戦今年も 川崎市在日職員
2007-12-05

金本大祐さん生活保護ケースワーカーへ4度目の異動申請【神奈川】

生活保護のケースワーカーへの異動を希望している川崎市の一般事務職員が、韓国籍という属性を理由に過去3度、門前払い同然の扱いを受けていたことがわかった。市は「公務員に関する基本原則」を具体化した市の「運用規程」に抵触するためとしている。最近も4回目の申請を出し、来年3月に出る結果を待っている。

「自己実現あきらめない」
 この職員は韓国籍を持つ金本大祐さん(32)。98年4月、川崎市の一般職に外国籍者としては初めて採用された。これまで港湾局、教育委員会、健康福祉局と歩んできたが、本来の希望は生活保護のケースワーカーだ。
02年を皮切りに05年、06年と直属の上司に異動を希望してきたが、かなえられていない。「運用規程」が現実に、外国籍当事者の希望を阻むという事例が明らかになったのは、これが初めて。 

緊急入院して本人自ら意思行為のできない人のため、自らの職権で生活保護の申請をする「措置」をとることも「公権力の行使」にあたる、というのが市側の見解だ。同じく被生活保護者宅の生活状況を管理、チェックしながら「変更」「停止」「廃止」といった手続きを行うことも該当するという。 これに対して、金本さんは「すべての行為は法律の枠内で行われ、上司の決裁が必要となる。個人が公権力を行使しているわけではない」と反論している。

金本さんが今回4度目の人事異動願いを出したことについて市人事課では、「ケースワーカーの職務全般が抵触する。公権力を行使する部分とそうでない部分を切り分けることができるかどうか、検討しているところ」と話している。 
金本さんは「最低生活費を割ってしまうような本当に困っている人が救われない現実。こうした人たちに対して保険、年金、就職などの生活上の問題で全面的に支援できる立ち場。それをやりたい」という。実現したら申請を待つのではなく、地域に出て困っている人を探す「アウトリーチ」をやりたいと、夢をふくらませている。 

金本さんが使命感を燃やすのは、自らの生い立ちも関係している。生まれは千葉県南房総。中学生の時に古物の商いをしていた父親を亡くした。生活苦の一家を支えたのは周囲の心ある複数の日本人だった。深夜労働など、あらゆる労苦を体験しながら都内の私立大学を卒業した。金本さんには「困っているところからはい上がってきたから当事者の立場に立ったアドバイスができる」という自負がある。 ケースワーカーは「奉公3年」という言葉に象徴されるように、市職員が敬遠しがちな職務とされる。市基準では被保護者80人に1人の職員を置くことになっているが、現実には1人で100人ほど抱えているという。市人事課では「来年3月までには結論を出したい」と話している。

■□柔軟な対応を専門家の意見
生活保護のケースワーカーが「公務員に関する基本原則」に抵触するかどうか意見が分かれる。 市側の主張は、申請書の作成から行政処分までを一連の流れのなかで職権の範囲ととらえ、切り離せないという考えだ。
これに対して都の元職員は「申請書の職権による作成だけなら、公権力の行使にはならないと立論できる」と話す。 
これは本人の権利・義務関係に変動を及ぼすのは申請ではなく、申請に対する行政処分のほうだとの考えに基づく。申請を受けて、申請への処分の最終決裁権限は、課長ないしは部長が握っているからだ。 

川崎市の元職員でケーススワーカーを永年勤めてきた経験者はもっと直裁だ。「そもそもケースワーカーとは国民の生存権の問題であり、これを公権力の行使ととらえるのは明らかな誤りだ」と主張する。 

金本さんを陰ながら支援している崔勝久さんは「生活保護申請を審査して、やってあげるかどうかを自治体が決めるという立場からは公権力の行使と考えるし、反対に国民の生存権の保障を補助するという立場に立てば公権力の行使にあたらないという説も成り立つ。ケースワーカーの職権と国民の生存権との関係、そもそも公権力の行使とはなにか、来年から市の関係者にも呼びかけて一緒に学習していきたい」と話している。(2007.12.5 民団新聞)

2007年11月29日木曜日

外国籍の被生活保護者は不服申立てできない?

皆さんへ

今日、元ケースワーカーの竹野さんから聞いた話では、外国籍の被生活
保護者は、生活保護法の第9章で記されている、「不服申立て」はできない
そうです。

なぜならば、生活保護法の第1章、(この法律の目的)は、
「この法律は、日本国憲法第25条に規定する理念に基き、国が生活に
困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を
行い、その最低限の生活を保障するとともに、その自立を助長することを
目的とする。」

憲法第25条(国民の生存権、国の保障義務)全て国民は、健康で
文化的な最低限の生活を営む権利を有する。
②国は、すべての生活部門について、社会福祉、社会保障及び
公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

つまり憲法で保障されている「生存権」は日本「国民」を対象にしている
のであって、外国人は対象外にされているのです。

しかし生活保護法の「国民」に外国人も含まれて生活保護を受ける
ことになったのは、法律の作られた昭和25年当時、多くの朝鮮人・中国人
が日本に残り、彼らが「解放国民」として植民地支配をした日本国土から、
本国に帰国する状況にはなく、彼らの状況を放置できず、「当分の間」、
「恩恵」として認めるようになったのです。

北朝鮮への帰国事業は、そのような生活保護を受ける朝鮮人が
ますます多くなっていくことに対して、日本国家として、植民地支配の
総括の意味をこめることなく、ただただ在日朝鮮人を日本から追い出した
かったということがテッサ・モーリスースズキさんの本で明かにされています。
日本社会への絶望から祖国に帰りたいという気持ちを逆手にとって、
10万人以上の在日朝鮮人を「追い出した」ということです。

北朝鮮への帰国を願う運動が川崎から始められたということは、当時、
それほど生活保護を受ける朝鮮人が多かったことを意味します。
その川崎で、公務員になったK君が、ケースワーカーになって、もはや、
3年間は我慢して「奉仕」する仕事(竹野談)、を自ら志願しているのだから、
なんとしても実現させたいものですね。

崔 勝久
SK Choi

訂正

皆さんへ

「きそく裁量」という元々書かれていたものを、私が「規則裁量と」と勝手に
書いてしまいましたが、富永君の指摘で、「覊束裁量」であることが
わかりました。私のミスです、ごめんなさい。

なお、「覊束」とは、押さえつけて自由にさせない、つなぐ、つなぎとめる
という意味だそうです(角川の漢和中辞典)。

要するに、生活保護を申請するのは、国民の権利であって、国民の
「最低限度の生活を保障する」(生活保護法第1条)(これを英語では、
Basic Incomeというそうです、わかりやすいですね)のに、木っ端役人が
自由裁量で、勝手に生活保護を出すとか、ださないとかはできないよ、
一定の条件を備えた案件はそのまま、生活保護を認めなければならない、
ということのようです。

そうだとすれば、K君の指摘のように、ケースワーカーの職務は
「公権力の行使」ではない、ということですが、それに対して富永君は
以下のことをあげてくれています。

ただ、最高裁は、「住民の権利義務を直接形成し,その範囲を
確定するなど」を公権力の行使としていますので、権利の制限
だけでなく、逆に権利を形成するものも含まれるという整理です。 
これは行政法学に由来する整理です。行政事件訴訟法3条の
「行政処分」の学説上の定義を横引きしたものです。
あと、ワーカーが法定代理人という整理になる場合は、別途

その点について精査が必要になるかもしれません。

崔 勝久

外国籍公務員がケースワーカーになれない理由の問題点

皆さんへ

韓国籍の川崎市の職員が、ケースワーカー希望で、3度断られて、
先週、4度目の申請をしたのですが、市がなんとか彼を抱きかかえ
ようとしながら断ったのは、ケースワーカーの職務でどうしても
「公権力の行使」によって「当然の法理」と抵触するものがあり、
それがクリアーできないので、だめだというのです。

それは、例えば野宿者が緊急入院して、「意思行使」ができない
状態の人に「職権」で生活保護を申請する「措置」をとること、
勿論、その決裁は上司がするのですが、その「職権」が「公権力の
行使」に当たるというのです。

これは韓国籍公務員の国籍による差別と私たちは主張してきました。
しかし元ケースワーカーの竹野さんによると、問題の根は深く、
そもそもケースワーカーというのは国民の「生存権の保障」をする
「補助機関」に過ぎなくて、「執行機関」は別の管理者だというのです。
そこまではこれまで私は理解していたのですが、問題は、「意思行為」
のできない野宿者を「補助」することを「職権」ということで
「公権力の行使」と理解する、その理解の仕方にありました。

竹野さんによると、これは国民の生存権の問題で、その「補助」をする
ためのケースワーカーの「措置」を「公権力の行使」とするのは、
間違いという考え方でした。

当事者のK君は、
「ここは私も同感です。国民の権利・義務を制限する職務ではなく、
給付行政なのですから。また、生活保護行政は、第1号法定受託事務に
属するものであり、さらに、執行機関に認められる裁量権の範囲も、
いわゆる自由裁量ではなく、覊束裁量という狭いものです。」という
意見です。

これはケースワーカーの存在そのものをどのように捉えるかという
大問題で、韓国籍の青年K君を拒む市側の主張は、国籍を問題にして
いるようで、その実、福岡の餓死事件のように、生活保護の申請に
対して審査し、認めてあげるかどうかは自治体が決める、やって
あげるという考え方なのです。

やってあげるという立場からすると「職権」で「意思行為」のできない
人の申請措置をするから、「公権力の行使」と考えるし、反対に、
国民の「生存権の保障」を「補助」するという立場に立てば、これは
「公権力の行使」でもなんでもないということになります。

国と自治体は勿論、これ以上、生活保護者を増やさないという
考え方ですし、ケースワーカーは被生活保護者の管理、チェックを
行う仕事と捉えている訳です。これは生活保護法や憲法に反する
というのが、竹野さんの意見です。

従って、国籍を理由にした差別問題で終わらせないで、国や自治体
が生活保護者をどのようにとらえているのか、ケースワーカーの役割
をどのように捉えているのかという問題にまで広げようと考え、来年
早々、学習会をもとうと思います。みなさん、いかがですか。できれば、
川崎市の人事課、ケースワーカーの人たち、参画室にも参加をよびかけ
たいと考えています。あくまでも一方の当事者である市の関係者にも
参加をしてもらい、ケースワーカーの「職権」と国民(住民)の生存権
との関係、そもそも「公権力の行使」とは何か、それと外国籍公務員の
「当然の法理」をどのように考えるのかを一緒に学習したいと考えています。

参考までに、「生活保護法」とは、社会権の一つである生存権のため、
対象は「国民」で、憲法解釈からすると、外国人は対象外なのです。
しかし、外国人登録法と同じで、「当分の間」、「恩恵」で外国人も
日本人と同じように、見てあげるという考え方で、これが北朝鮮帰還
問題とからまります。政府・自治体は、生活保護者が多い朝鮮人を
日本から追い出したかったのです。このことはモリス教授が記しています。
(テッサ・モーリスースズキ著『「帰国事業の影をたどる 北朝鮮への
エクソダス』(朝日新聞 2007)

またこの帰還運動は川崎から始まったのです。今回の韓国籍青年Kの
ケースワーカー問題は、植民地支配の問題、国・自治体の、国民の権利に
対する考え方の問題が関ってきます。それが「当然の法理」を軸にしながら、
川崎市と攻防をすることになります。

崔 勝久