2010年7月27日火曜日

韓国の「多文化共生」の実態―国際結婚が10%を超える!

韓国の「多文化共生」の実態―国際結婚が10%を超える!

今朝のテレビ朝日のスーパーモーニングで、韓国の国際結婚の実態が報道されていました。2000年は3.5%であったものが、2009年には10.8%になったそうです。それだけ国際結婚が多いのは、農村に嫁に行く韓国の女性が少なくなり、子供を産み、働いてくれる若い嫁を海外から迎えるためという説明でした。現在韓国農村の3割は国際結婚によるそうです。そこには色濃くジェンダー問題が潜んでいます。

7月25日(日)に日本学術会議主催の「グローバル化するメディア社会と文化的市民権」の公開講演会があり、「市民の会」の伊藤さんと私が参加しました。そこでの基調報告は韓国延世大学の金賢美教授によるもので、大変興味深いものでした。今朝のTV報道でも解説されていましたが、国際結婚の対象は中国、ベトナム、日本、イズべキスタン、カンボジア等にも及び、その仲介業者は現在、未登録業者を含めると2000社にもなるとのことです。TVでは人身売買、奴隷売買と言ってましたね。その通りです。

金教授の講演からは、韓国はNGOの活動が活発で、政府は外国人労働者を受け入れる体制を迅速に法制化している実態が伝わりました。NGO側は、「文化的市民権」ということで、「同化」を進め「韓国らしさ」を当然視・強要する政府の政策と、それを受け入れる一般社会に対して、「多文化共生」の必要性とともに韓国社会の閉鎖性に批判的です。金教授は、マスコミとNGOは外国人の人権(「再配分」と「承認」)の重要性を強調した論陣を張っているものの、当事者不在である実態を指摘されていました。

講演を聞いた多くの人は、韓国の「多文化共生」政策が進んでいると感じたかもしれませんが、私見では、勿論韓国から学ぶこともありますが、それは表面的な分析で、韓国は政府(国家権力)の力が強く、それにもろに対抗するためにNGO活動が逆に盛んにならざるをえない、何故ならば、地方自治の実態があまりに「未熟」だからだと私は分析します。NGO側の運動も大きくは、外国人の人権を謳いながらも「多文化共生」政策を裏から支える形になっており、その主張はキリスト教の影響か(?)博愛主義的で観念的だという印象を受けます。

「多文化共生」は韓国の例を見ても、日本と同じく、結局は国民国家の強化につながり、マジョリティのあり方を根本的に批判、変革する視点が圧倒的に希薄です。外国人をどう受け入れるのかというレベルで留まっています。

私は今いくつかの論文を書いていますが、マイノリティ問題はマジョリティ問題という曖昧な概念でなく、マジョリティの何が問題なのか、そこを徹底的に論議する必要があると思います。私の結論は、日本、韓国における「住民主権に基づく住民自治」の仕組み(及びそれを必要と考える市民の考え方が希薄)をつくる過程で、それを外国人と一緒に論議しながら、マジョリティを変えていかなければならないというものです。

詳しくは、「オルタナティブ提言―「在日」の立場から」(季刊『ピープルズ・プラン』)、及び「人権の実現―「在日」の立場から」『人権の実現』(斎藤純一編)、(『講座 人権論の再定位』(全5巻、法律文化社)で拙論の掲載が決定したらお知らせします。

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