2010年10月23日土曜日

ユニクロの会長発言、そうか、新自由主義って国民国家の強化と一体なんだ!

『季刊 ピープルズ・プラン』11月号に寄稿する原稿、ようやく脱稿しました。私には学問的な論文は書けず、民族差別についての想いを率直に書きました。前向きな形で論議されればと願っています。読者の率直なご意見を期待します。

10月23日の朝日の「be」で、ユニクロの会長兼社長の柳井正の「希望を持とう」というコーナーがあり、毎週持論を記しています。今回は、「偏狭な愛国心排すべき」というタイトルです。

「アジアは共存共栄をめざすしかない。すでに日中は互いに切っても切れない関係を築いている。その原点に立ち戻り、冷静に対処することが大切だと思う」と穏健で、さし障りのないことを書いています。しかし私があれっと思ったのは、今日の朝日新聞本体の経済欄で、ユニクロの主力商品の中国生産比率(現在8割)を2015年までに5割に引き下げると柳井会長が記者会見した際、16日の中国成都での反日デモでユニクロ店を一時閉鎖したことを明らかにし、日本政府の対応について以下のような発言をしていたことです。

「中国に進出した企業は自己責任でやってくださいというのはどうかと思う。ビジネスがやりやすいようにするのが国としての義務」ということでした。これを読み、中国に進出している多くの企業は恐らく、我が意を得たりと思ったでしょう。

私はこの記事を読み、そうか、国境を超えるという新自由主義は国家権力と結びつく、ネオリベのインターナショナリズムはナショナリズムの強化と表裏一体と言われていたことはこういうことだったのか、はっきりと実際のこととして理解できました。

しかし政治的に冷静な対応を訴える企業家の歴史観はどうなんでしょうか、尖閣諸島は日本「固有」のものということがマスコミで当然視されています。中国を専門とする横浜国大の村田教授のメールでは、「日本国内が大騒ぎしているのに驚いております。中国でも事件そのものは伝えられておりましたが、日本のような馬鹿騒ぎはしておりませんでしたので。この問題を利用して意図的に「中国脅威論」を煽っているとしか思えません。」と記されていました。

野党や民主の中でも管政権の弱腰を批判する声が相次ぎました。「粛々と国内法に基づいて処理をする」ということそのものが、尖閣諸島を日本「固有」のものであること宣言するという構図になっており、これは基本的には竹島(韓国、独島)問題と同じだと思います。日清戦争の前後、富国強兵政策で植民地主義による日本の侵略・拡張の過程で生じた問題です。この事実はまったくマスコミでは報道されず、ナショナリズムを扇動するばかりです。

ユニクロはもっとも成功している企業のひとつであり、世界に進出し、多くの外国籍社員を抱える「開かれた」企業とされています。しかしその会長が、いざとなると国がでて守ってくれと本音をだすのですから、多文化共生は植民地主義のイデオロギーとする私の主張をいみじくも証明してくれたように思いますが、みなさんのご意見はいかがでししょうか。

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