2010年12月17日金曜日

近藤誠は生きていた!-「がんもどき」理論の最終見解について

私は妻の乳がん手術の経験から、近藤誠の本を読み、彼への信頼は高かったのですが、彼が乳房の全摘切除(ハルスレッド手術)から乳房温存療法を日本において実施しはじめ、信頼する同級生に2000以上の患者を紹介してきたのに、その同僚が巨大な診療報酬詐欺を働いていたため(著書の最後に言及)、彼の社会的信用も堕ちたと聞いていたので、新刊の『あなたの癌は、がんもどき』(梧桐書院)は待ち遠しかった本でした。


期待通り、著書の主張は明快で、かつ説得力があります。恐らく、癌に関してはこれが彼の最後の本になるような気がします。


癌の手術を受けたら誰でも、転移しないようにということで医師から薦められる薬は呑もうとするでしょう。しかし私は妻の手術後、彼の本から意味のない抗がん剤のリストの中に彼女が呑み続けている薬があることを知り、彼女に呑むことを止めるように話をしました。躊躇と恐怖からその話を医師に出せずにいた彼女が思いきって話をしたら、「ああ、止めてもいいですよ」ということでした。


私の知人にも、胃がんの手術の後の抗がん剤の使用をやめた方がいいと助言したことがあります。彼女はとても元気だったのですが検診で胃がんであることが判明し、すぐに手術を受け、その後抗がん剤を呑む中で、何カ月もいかずに亡くなりました。

近藤誠は、日本の製薬メーカーが海外での否定的な実験結果を無視し(承認を受け)販売していることに対して、データを分析しその偽りのからくりを暴きだし、何百億円のヒット商品の「息の根」を止めています。

近藤誠は、あらゆる集団検診、人間ドックなどは受けないようにと言います。そこで癌の兆候が発見されても、何もしなかった人と比べて死亡率に違いがないというのです。小さなポリープが発見されても、それが癌になり、転移すると言われていますが、それは仮説に過ぎないと断言します。


癌には転移をする(している)本物の癌と、転移をしない「がんもどき」があるというのです。後者が圧倒的に多いということは言うまでもありません。前者であれば、何をしてもだめ、後者であれば、そのまま何もしないで様子を見ることを薦めます。集団検診や人間ドックで癌患者は急速に増えているのですが、それによって死亡率が下がることもなく、検診などをしない群(グループ)とほぼ同じだというのです。


免疫を高めるなどという話の欺瞞性についても、癌とは何か、それがどのようなメカニズムで転移するのかという説明から始まり、むしろ細胞の抵抗力が重要とのことです。体にメスを入れることによって、転移しないはずの腹膜などがかえって手術によってそこから癌細胞が浸透していくということも、なるほどと納得です。

癌で人が死ぬのではありません。転移によって臓器の機能が低下して死ぬのです。近藤誠は、癌に怖がることはないと素人に語りかけながら、癌の専門家、現場の医師にも最後の挑戦状をたたきつけたと思いました。

私に癌が見つかったら、還暦を過ぎ未だに慶応大学医学部の講師である近藤誠に相談にのってもらおうと思っています。是非、一読を薦めます。

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