2011年2月9日水曜日

「性的マイノリティと​地域社会」報告ー佐藤​和之

Subject: Re: 「レズビアン差別」に対する崔さんの意見についてー金志映
(http://anti-kyosei.blogspot.com/2011/02/httpanti-kyosei.html)

崔勝久 様、

ML上で「レズビアン差別」が話題になっているようなので、
私が主宰するCS神奈川懇話会のレポートを添付します。短文
で、参考以上ではありませんが。なお、CS神奈川懇話会は少
人数の勉強会ですが、いつか崔勝久さんを招いて話をしてもら
おうと、勝手に考えています(笑)。

ところで、昨日今日とアイヌ民族支援団体の集会に行って来ま
した。彼らとは、私がやっているチェチェン支援運動と共闘関
係にある訳ですが、彼らに崔さんの論文を紹介すると、やはり
頗る評判がいい。

また、一昨日まで大阪・鶴橋にいる在日の友人宅にいました。
が、今回は在日関係の取り組みではなく、労働運動と「カザフ
スタン文化センター」訪問が目的でした。カザフスタンは、強
制移住でチェチェン人と高麗人とが出会った場所です。文化セ
ンターは、ある在阪カザフ人が日本人スタッフと、アングラに
いるロシア人らに支えられて運営しています。

おっと、長くなりそうなので、以上。



佐藤和之
Kazuyuki Sato

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ちらし6.25第八回CS神奈川懇話会
「性的マイノリティと地域社会」報告

6月25日(金)川崎市の中原市民館において、市民連帯神奈川の懇話会が開かれ、7名が参加しました。話題提供者は、性同一性障害であることを公表し、世田谷区議会議員になった上川あやさん。まず、上川さんから約2時間に及ぶ報告があり、続いて参加者との間で活発な質疑応答がなされました。

テーマは「性的マイノリティと地域社会」ですが、法務省人権擁護局が掲げる強調事項のうち、世間の関心度が低いワースト2が「同性愛」、ワースト3が「性同一性障害」であるという調査結果があります(ワースト1はアイヌ民族問題)。しかしながら、LGBT(レスビアン・ゲイ・バイセクシュアル・トランスジェンダー)など性的少数者をめぐる諸問題は深刻であり、しかも論点は複雑多岐にわたります。そこで主催者としては、時間制約なしに問題提起をしてもらうよう、あらかじめ話題提供者に依頼しておきました。

さて、上川さんの「性的少数者と人権-とりまく社会状況と困難」と題する報告では、性染色体という生物学的医学的な話から始まり、体と心の性ないし性的指向とが一致しない、あるいは性が決められない者の内面的葛藤、周囲の差別・偏見と社会的不利益、性的少数者のNGO活動、同性同士が結婚できる国と同性愛者を死刑にする国、日本の「性同一性障害特例法」と今後の課題など、次から次へと重要な問題提起がなされました。さらに、自分自身の生育歴と家族・学校・職場の話、シンガポールやアメリカでの生活、性別移行とカミングアウト、NGO活動から区議会議員当選までの経緯、様々な少数者の声を尊重した議員活動などを紹介。

そして、沈黙からは何も生まれないこと、民主主義制度を動かすのは人であること、議会や行政に少数者の声を届けるには当事者のVisibility(存在の可視性)こそが鍵であることを、上川さんは自己の体験から力説していました。

報告の最後に、アイデンティティの根幹である性のスペクトラムと、多様な人々の連帯が社会を構成していることが、結論として指摘されました。実際、同性愛者だけでも人口の10%と言われているそうです。但し、差別を恐れる人は「苦しい・・・」とさえ言えないことから、問題は不可視化されています。したがって、性のあり方をめぐる「ふつう」や「常識」を問い直すと同時に、想像力ある周囲への対応が必要でしょう。そして近年、性的少数者に対する日本社会の認識は、確実に変わってきています。

質疑応答では、性自認に関するジョン・マネー説の問題、現行「性同一性障害特例法」の性別変更条件、「障害」という規定などをめぐり討論になりました。性自認の決定要因には、先天的なものと後天的なものがあるという説が、最新の研究だそうです。さらに現在、戸籍上の性別変更には、①性別適合手術、②婚姻なし、③成人前の子なし、という条件がありますが、その点を改正していく必要性が説かれました。

そして一般に、LGBTなどを「障害」だとすれば社会的に取り組むべき課題となり、「個性」だとすれば自己責任の領域へ追いやられます。その場合、「障害」=悪という前提がありますが、その点にも疑問が投げかけられました。

終了後の交流会では、皆が議論に没頭し、気がつくと1日が終わろうとしていました。こうして、スリリングでラディカルな夜は、瞬く間に過ぎていきました。最後に、26日午前1時のツイッターから、上川さんの呟きを紹介しておきます。

「川崎市での講演から帰宅なう。講演終了後もディープに武蔵小杉の居酒屋さんで語り合って帰路につきました。高校時代、武蔵小杉のマンモス校(男子校^^;)に通っていた私だけれども、周辺環境の激変ぶりには驚くばかり。駅から高校への通学路が思い出せませんでした…」。

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